ビットコインは「チューリップバブル」それとも「デジタルゴールド」?

Devrimb/iStock

今朝の日本経済新聞朝刊で、ビットコインについて学者と業者がそれぞれの持論を展開しています(写真は紙面)。

証券市場に関する研究が専門の学者は、ビットコインを17世紀のオランダの「チューリップバブル」と同じで「たぬき村のお札」だとこき下ろしています。

その根拠としては

  • 金とは異なり装飾品・工業用途の実用性がない
  • 盗難や破綻リスクがあり信頼性・永続性に欠ける
  • マイニングに電力を浪費する
  • 民間が、資産の裏付けなく発行している
  • トランプ大統領の肯定的姿勢はパフォーマンス

ということのようです。

一方で、暗号資産業界の人たちは、当然のことながらビットコインに対して極めてポジティブです。その根拠として、

  • 流動性・換金性の高さ
  • 機関投資家がアセットクラスとして認知したこと
  • 供給量が限定されていること
  • アメリカ政府などで準備金に組み入れる可能性

などを挙げています。

私は業者ではなく投資家ですが、考え方は暗号資産業界の人たちとほぼ同じです。

その1番の理由は、日本円を始めとする法定通貨への不信感です。国の信用を裏付けとして発行されている日本円、アメリカドルなどは発行量に歯止めがかからず、国の信用力が低下すれば価値は下落します。

そんな法定通貨から資産逃避したい場合、最も流動性が高く、ポータビリティ(持運び)に優れているのがビットコインです。金は保管と持ち運びの点では暗号資産に劣ると考えます。

暗号資産の価値が上がり続ける100%の保証はありません。しかし、少なくとも資産の一部は暗号資産に配分しておくべきとの立場です。

最近は日本国内の金融庁による規制や、売却時の税制に改善要望を求める声が強まっています。

「暗号資産=危ないもの」という先入観を捨てて、貯蓄から投資への流れを進めていって欲しいと思います。暗号資産に関しては今週土曜日に開催する第20回世界の資産運用フェアでも専門家をゲストに招いて情報提供する予定です。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年2月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

アバター画像
資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。