黒坂岳央です。
仕事柄、いろんな人とコミュニケーションを取ってきた。世間的に「怖い、苦手」と敬遠されるタイプと、怒らせたり恨みを買うと本当に怖いタイプは結構違うという肌感覚がある。
個人的な独断と偏見で取り上げたい。

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短気ですぐ怒る人は怖くない
どこの職場でも必ずといっていいほどいるのが「短気でよく怒る人」ではないだろうか?
筆者もこういうタイプとは数多く出会ってきた。彼らの沸点は非常に低く、気に入らないとすぐに激情する。こういうタイプには、最初は誰しも萎縮する。自分もサラリーマンの頃、怖い先輩上司にビクビクしながら仕事をしていた時期もあった。
だが慣れる。こういうタイプはわかりやすく、とにかく予測が容易だ。何をしたら怒るのか?朝・昼・夜、どのタイミングで怒りやすいか?といった傾向がわかれば対策もしやすいし、何度も怒られているとそのうち犬が吠えているような感覚になって何も感じなくなる。
さらに彼らの怒りは一定ラインを超えない。本人も怒りを小出しにしているので、火山の噴火のように怒りが溜まって爆発することも少ないからだ。
怒りを溜めるタイプは怖い
本当に恐ろしいのは、怒りを溜めていくタイプだ。
普段は何を言われても言い返さず、黙って耐えるタイプがこれに当てはまる。日頃は口数が少なく、大人しいのだがプッツン来るとあらゆる合理性を無視し、逮捕覚悟で恨みの解消だけを目的に行動に出る。
実際、過去に体験したことがある。職場でずっと虐げられていた大人しい社員が、帰り道に上司を待ち伏せし、襲撃したという事件があった。また、パワハラを受けていた弱々しい立場の人が、いきなり反撃に出た時は相手を社会的に終わらせるまで徹底的に追い込むという事件もあった。
彼らのターゲットにならないための方法として、小さい不満を見逃さないことである。こうしたタイプが行動に及ぶタイミングではすでに手遅れだ。長年の怒りを溜め込ませないよう、不満を言われたら無視せずにその場で対応をして結論を出す。とにかく相手に「不当な我慢を強いられた」と思わせないようにしなければいけない。
嫌われてもいいが恨まれるな
怒らせると怖いタイプの攻撃を受けないために大事なのは、彼らから嫌われてもいいが、決して恨まれないことだ。
嫌われると恨まれる、一見すると同じに思えるが全く違う。嫌われる、とは「この人は自分とは合わないな」と相性が悪いと感じさせることである。
たとえば、このような強めの主張を書くと、一定数の人から「お前はおかしい」「お前のようなやつは嫌いだ」という趣旨のコメントが届く。人間関係における相性の問題からは誰も逃れることはできない。「お前が嫌いだ」と評価者側の人も、他の人から評価されているという事実がある。だがそれ自体は問題ではない。
問題は恨みを買うことだ。ではどんな時に恨みを買うのか?それは「金銭、プライド」の2つに打撃を受けた時だ。
恨みを買う2大要因は「お金」と「プライド」
相手から恨みを買う話題は2つある。
1つ目は金銭トラブルだ。一例として「相手にお金を取られた!」と相手に感じさせてしまうことである。
よくネット上で詐欺師が不義理を働くのを見ることがあるが、「怖くないのか?」と思ってしまう。お金の恨みは恐ろしい。お金の恨みを買ってしまうと、怒り心頭の相手からどんな復讐をされるかわからない。できる限りクリーンにしておくべきだ。
2つ目はプライドである。筆者は言い回しに気をつければ、相手の行動や意見を否定するのは構わないと思っている。だが、相手の人格やプライドに口を出すと恨みを買う。このボーダーラインを間違えると恐ろしい。
「その意見については自分は違う意見を持っている。たとえばこの信頼のおけるデータでは異なる結果を示している」
これは事実ベースで、相手の意見に異なる視点から提案をしているので恨みまでは買わない。一方で次のケースは非常にまずい。
「本当に頭悪いよね、こんな簡単なこともわからないの?もっと頭が良くなる努力したら?」
一見、同じように相手を否定しているように見えるが、実は否定の対象が違う。こちらは相手の能力や生き方を否定している。こうなると相手から恨みを買ってしまうのだ。
◇
短気な人はわかりやすいが、その場ではあまり話さず大人しい寡黙なタイプこそ怒ると本当に恐ろしい。そしてそのようなタイプは外見や少しやり取りするくらいではわからないので、普段からどんな相手にもできるだけ真摯に対応することが望ましいだろう。
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