黒坂岳央です。
人間は習慣と環境の生き物だ。この2つが良くなれば良い人間になり、その逆もある。そして良習慣以上に難しいのが、悪習慣を止めるということだ。
酒、タバコ、ギャンブル、デザート、スマホなど我々の周囲には人生をダメにする依存症、悪習慣で溢れている。一度身につけるとやめるのは困難だが、スタンフォード大学の心理学者のラッセル・ポルドラック氏が解決法を示している。

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悪習慣に対する2つの間違い
我々は身についた悪習慣に対して間違った理解をしている。すなわち、ほとんどの人は「もう手を出さないぞ」と意志の力で悪習慣を「なくしてしまおう」とするのだ。
だがこれは2つの意味で間違っている。1つ目は意志の力はあまりにも頼りなく、手法として誤り。そしてもう1つは一度味を知った悪習慣を「完全に消す」ことはできないということだ。
人間を作っている要素は複数だが、意志の力は持続性に乏しく、それ故にどれだけ強い決意を持っても3日も持たない。だが人生を変えるのに意志力で変えようというアプローチがそもそも誤りなのだ。特に悪習慣は我々の想像より遥かに強い。竹槍でB29に立ち向かうような無謀な戦である。
そして脳が味を知った悪習慣は消えない。だから一時的に消えたと思ってもひょんなきっかけで20年来に悪習慣が復活することは普通にある。結婚を機に喫煙習慣が止まったのに、離婚後にまた喫煙習慣が始まったというイメージだ。
故に悪習慣は最初から手を出さないのが一番である。筆者はタバコの味を知らないので禁煙と戦う必要がない。できれば世間的に悪習慣として知られるものには手を伸ばさないことだ。
もちろん、すでに身についてしまった人でもトリガーを断つことでコントロールできる。詳しくは次の章で解説をしたい。
悪習慣を確実に止める方法
それでは悪習慣を確実に止めるにはどうすればいいだろうか?答えは1つ、トリガーをなくすのである。
悪習慣そのものを脳から完全に消し去ることはできないが、手を出すきっかけをなくせば実質的に封印することができるというわけだ。
筆者は「悪習慣」とまではいかないが、サラリーマンの頃にお酒を飲むことがあった。だが、独立した瞬間、まるでスイッチを切ったようにそれから酒は一滴も飲まなくなったのだ。その理由はサラリーマン時代によくあった飲み会が消え、酒を飲むきっかけがなくなってしまったことだ。
同じ要領で喫煙をしたければ、タバコの入手経路に触れる機会をなくせばいい。タバコの自販機前を通らず、コンビニに寄らない。同じことがコンビニスイーツをやめられないダイエッターにも言える。スマホ依存症でムダ時間を過ごすことに悩む人ならキッズケータイにすればいい。
とにかく悪習慣は手を出すきっかけとなる入口を、徹底的に先回りして破壊してしまうのだ。
◇
悪習慣は完全に消すことは不可能であり、何十年経過しても脳はドーパミンの味を覚えている。そのため、軽い気持ちで「たまには少しだけ」と手を出すと再び悪習慣は復活してしまう。入口を破壊したら二度と近づかない、手を出さない。これによって悪習慣を封印することができるのだ。
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