劣化が止まらない国内航空会社のビジネスクラスラウンジ

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不動産視察に来ているカンボジア。今回のフライトはANAを使いました。経由するバンコクからはスターアライアンスのタイ航空です。

ビジネスクラスの機内サービスにはもはや期待していないので、機内食を今回も事前リクエストでヒンドゥーミールに変えてみました。これもさすがにちょっと飽きてきました。

機内サービス以上にクオリティが下がっていると感じるのが、羽田空港のビジネスクラス利用客用のANAラウンジです。

羽田の国際線第2ターミナルはまだ新しいので清潔ですが、ワインは安いスパークリングワインとペットボトルに入った赤白のワイン。日本酒も特に飲みたいような銘柄はありません。

食事はカレー、モバイルオーダーの蕎麦(写真)とブッフェスタイルの惣菜。

記念にカレーを食べましたが、後には食べたいと思うものがありませんでした。

ファーストクラス用の上級ラウンジであれば、サービスレベルはまだ高いのかもしれません。しかし今回のカンボジアビジネスクラス往復チケットは60万円以上しましたから、それなりのサービスを期待してしまいます。

日本の航空会社のビジネスクラスラウンジのクオリティを上げるためには、以前から書いているように利用客の絞り込みが必要です。

ビジネスクラスラウンジには、過去のフライト実績で永久利用を付与されたステイタスを持つメンバーが一定数存在します。スーパーフライヤーズ、JALグローバルクラブといったメンバー組織です。

どちらも1年間だけ「修行」と呼ばれる集中利用をすればメンバーになることができます。

一旦獲得してしまえばメンバー専用のクレジットカードを保有し続ける限り永久会員となります。その後はエコノミークラスの利用であっても、毎回ラウンジを利用することができるのです。

航空会社サービスに存在する「歪み」です。

このステイタス保有者の数は年々増えていき、ビジネスクラスラウンジの混雑の原因となっています。

これはANAだけではなく、JALも事情は同じです。コスト負担しないただ乗りのメンバーによる混雑をどうやって解決するのか?

私は早急に何らかの対策を打つべきと思いますが、一向に変わらないということは、もしかしたら日本の航空会社はこれで良いと思っているのかもしれません。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年3月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。