オーバーツーリズムが指摘される日本観光ですが、今年は特に大阪万博が4月13日から10月13日まで開催されるため、大阪、京都はとんでもない状態になるのではないかと懸念しています。

大阪・関西万博HPより
「YOUはそれでも日本に行くの?」という問いに「それでも日本がいい」という答えが期待できる理由はあります。それは私のように海外に住んでいる者から見ると極めて魅力的な楽天地だからではないでしょうか?
私が経営する東京のシェアハウスに1年間滞在したフランス人女性。滞在期間中、メールでいろいろよもや話のやり取りをしてとても好感を持っていたのですが、数か月前に帰国しました。残念だと思っていたら最近メールが来て「私、日本に戻る学生ビザ取ったからまたひろのシェアハウスに泊めてください」と。嬉しい話ですが、思わず「なぜそんなに日本に来たいの?」と問うと「今のフランスは住めたものじゃない。社会もぎすぎすしてとても居心地が悪いけれど日本は天国よ」と。
4月1日に1部屋空くので空き部屋情報を流したところ、連日問い合わせのラッシュ。日本人はゼロでフランス人が4人、アメリカ2人、オランダ1人で問い合わせが多すぎなので空き情報を閉じてしまい、最終的にアメリカ人にしました。フランス人の問い合わせが多いのは近くにフランス人が好む日本語学校があるのとこの地域にフランス人のコミュニティがあるからかもしれません。カナダに住んでいることもあり、最近つくづく「フランス語、若い時に勉強しておけばよかった」と思います。
私が感じるのはいわゆる日本ブームが第2章に入り、リピート組の増加と滞在期間の長期化の傾向です。主要国なら90日間のビザ免除枠もあるので3か月日本に来るという人たちであふれかえっている、そんな感じです。多くは日本語学校に行くのでどうしても学校が集積しているエリアでないとその感覚はわからないかもしれません。たまたま私のところは2大学校集積地である池袋と高田馬場へのアクセスに好立地なのが功を奏しているようです。
一方、この外国人ブームは当然ながら自国に戻った後、旅行談義としてローカルの方同士で語られることで更に盛り上がります。そんな中、先日、 BC州の大臣を長く務めた後、先般リタイアした方と談義していたのですが、「私も日本には仕事では何度か行ったけど、今は行きたくないな」と。珍しい意見だと思い「なぜ?」と聞き返せば「外国人で混みすぎだよ。昔はもっと静かで落ち着いた感じだったけどね」と。人それぞれです。「でも落ち着いたらぜひ行きたいな」と。「Youのお好みはどちら?」ときけば「四国でお遍路、30日コース」だとか。これには参りました。
ただ、彼のいう混みすぎというのはとても同意です。京都や奈良の楽しみ方は静寂や侘び寂び、つまりつつましく質素さの中に日本のテイストがあったりするものです。私は浅草浅草寺とか鎌倉の小町通りにはよほどでないと行かないのは趣を感じられず「人の流れに身を任せ」ただただ人流に乗るだけ、というのが苦手なのであります。唯一明治神宮には毎回必ず参拝するのですが、こちらもざっくり6-7割は非日本人。それでもあそこは参道も広いのでそれほど気になりませんが、年に1-2度用事で通るJKの天国、原宿竹下通りは外国人に乗っ取られた感があります。
日本がなぜここまで海外旅行のメッカとなっているのか、ふと思うのは上述のフランス人女性のように滞在すればするほど良さがわかるスルメの様な国なのではないかと思うのです。お前、カナダ好きなんだろう、と聞かれれば「はい」と答えます。でもそれは「住めば都」という感もあるし、私は緑豊かなこの環境に惚れているのです。一方、日本の良さはグルメや観光地に限らず、政治的安定感、日本人の思想や優しさ、丁寧さ、礼儀作法やマナーを含めて国民全体が持っている良識度の高さ故ではないかと思うのです。
海外ではアメリカやフランス、ドイツ、韓国など、国を二分するような議論が日常茶飯事展開されています。一方、日本は成熟国として幸福を国民全体が訴求する社会だと思います。先般、世界幸福度ランキングが発表され、日本は55位だったのですが、これは幸福の尺度が違うからで参考程度だと思います。日本的なライフスタイルが外国人のハートに着実に浸透し、理解が深まっていけば「日本式平和と幸福の歓び」としてユニークな立ち位置となるでしょう。
Youはそれでも日本に行くの?と聞けば「Absolutely!(当り前さ!)」という答えが返ってきます。日本はエコノミック アニマルと言われた70-80年代から成長をし、共生社会を世界で最も早くそして充実させた国家だと私は誇りに思っています。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年3月23日の記事より転載させていただきました。