「医心館」不正請求問題:診療報酬不正と過剰請求の疑惑

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ホスピス型住宅最大手「医心館」を展開するアンビスホールディングスは、複数の拠点における診療報酬の不正・過剰請求疑惑の報道を受け、事実関係の確認と速やかな公表を行うと発表しました。

この報道は、共同通信が内部文書や複数の元社員の証言に基づき、実際とは異なる記録による不正な診療報酬請求の疑いを報じたものです。

医心館、調査委員会を設置 診療報酬の不正請求報道で(共同通信) - Yahoo!ニュース
 ホスピス型住宅最大手の「医心館」を展開する東証プライム上場の「アンビスホールディングス」(東京)は、複数の拠点で診療報酬の不正・過剰請求が行われていたとする共同通信の報道を受け、外部の弁護士らによ

「医心館」とはどのような施設か

じつは、先日、母をここで看取りました。転院理由は選択肢がここしか残されていなかったからです。最後の砦だといえば分かりやすいでしょう。

当初の希望は緩和病棟でしたが評判のいい病院は一か月待ち、末期がん患者にそのような時間的余裕はありません。近郊で即入居できる施設は、診療方針があいまいで病室を一切見せない杉並区の病院と、医心館だけでした。

自宅での看取りも考えたのですが、いざという時の対処ができません。負担が大きく現実的ではありませんでした。医心館のスタッフはどうだったのか?という話になりますが、親切な方が多く患者に寄り添う気持ちの強いスタッフが多かったように思います。

業務運営には疑問が残りました。意味不明な書類に何十枚もサインさせられるからです。入居の書類にサインするだけで一日かかりです。事務方から説明をしてもらいますが、内容をすべて理解できているわけではありません。なし崩し的といえばわかりやすいでしょうか。

そして、退去後に問題点が顕在化します。病院であれば退去時(退院時)に費用を一括して支払います。明細や細目も明らかです。しかし、「医心館」は退院時に費用を支払うもののそれは清算金ではありませんでした。その後も数か月にわたり、五月雨式に請求書が送られてきます。

企画費A、企画進行費B、介護費用A、介護実費Bなどの明細です。枚数が多いため、紐づけができません。また、区役所に提出すれば還付されると言われた費用も適用外で、約5万円程度が下りませんでした。結果的に当初の費用の2倍程度の金額になりましたが、身内の死に伴うトラブルを避けるため、黙認しました。

その理由の一つは、現場スタッフの意識の高さです。最後は24時間付き添いをしていました。これは家族だからできることですが、現場スタッフの数名は高い意識で、夜中の何時に呼び出しても丁寧に対応してくださいました。いまでも感謝しています。

ホスピスの問題点とはなにか?

終末期ケアの選択肢として注目されるホスピスですが、その運営実態には看過できない深刻な問題が横たわっています。特に、施設内訪問看護を巡る不正請求や過剰請求が社会問題として浮上しています。

この背景には報酬制度の構造的な欠陥があります。同じ看護業務を行っているにもかかわらず、施設看護は包括報酬で評価される一方、訪問看護は上限のない保険請求が認められているという矛盾です。この不均衡が、サービス提供者の過剰なサービス提供や不正請求の誘因となっています。

ホスピスや往診サービスに対する「ニーズ」は、患者の「真のニーズ」なのでしょうか。ホスピスの質は、退院支援を行う病院の利便性が反映されることが多く、患者や家族のニーズとは言えません。利益追求型のサービスはケアの質の低下を招き、終末期ケアの本質から逸脱するリスクがあります。

終末期ケアは、患者の尊厳とQOLを最優先に考えるべきです。患者のためのホスピスを実現するためには、施設と意識の両面からの改革が急務です。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

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