松浦鉄道・伊万里駅。
4月というのに真冬の寒さになっています。逆に先週は25℃以上まで気温が上がったりして、今年の春は寒暖差がとても大きくて着るものに困ってしまいます。先週がとても温かかったこともあり、福岡では桜の満開宣言が発表されました。1年の間で週末に桜が見られるのは多くて2回。この時期を逃すまいと桜の観光名所を訪ねます。
今回やってきたのは佐賀県伊万里市。ここから第三セクターの松浦鉄道に乗って伊万里市の郊外にある桜の名所を訪ねることにしました。
松浦鉄道は佐賀県の有田駅から伊万里市、長崎県北部の松浦市や平戸市を経由して佐世保駅に向かう第三セクター鉄道です。1両しかないディーゼルカーは桜の名所に向かう乗客で満杯状態。数十年ぶりに松浦鉄道に乗った、なんて方もいました。
ちなみにこの列車はアジフライラッピング列車。沿線の松浦市はアジフライの聖地として知られています。アジフライを味ぽんで頂くと相性度97.3%らしいです。今度試してみよう。
吊革にもアジフライがいました。
さて、列車は20分ほどで今回の旅の目的地である浦ノ崎駅に到着します。満杯の乗客のほとんどはこの駅で下車。この駅が桜の名所なのです。
次から次へと降りるお客さんと、桜の中を走る列車の写真を収めようとホームに残る人たちで狭いホームはごった返しカオス状態です。乗客の清算作業に手間取り数分遅れで列車は発車していきました。
浦ノ崎駅は昭和5年に開業し、これを記念して駅の周りに桜の木が植えられました。その美しさが口コミで広がり、今や日本を代表する桜の駅になっています。この日は毎年行われている桜の駅まつりの日ということもあって駅周辺は大いににぎわっていました。NHKで紹介されたこともあって来場客はいつもよりも相当多かったようです。
列車は去りましたがホームから人がいなくなることはありません。多くの来場者が沿線の桜をカメラに収めていました。
駅を少し離れた踏切から眺めます。こんもりとした桜の森。浦ノ崎駅はその森の中にあるのですが、満開の桜の中に埋もれて見えなくなっています。ちょうど上り列車がやってきました。桜の森の中から列車が飛び出していきます。
道路側から駅を眺め見ます。満開の桜のもとに人々が集います。桜の花は人々を呼び寄せ、その心を明るくさせる不思議な力があります。
ホームの上に集まり満開の桜をカメラに収める方たちが大勢います。列車が来ることはしばらくないのですがそれでもこの賑わいです。
わたしもホームに戻り、その人波に混じります。みなさんなぜか伊万里方面を眺めていますが、次の列車は反対方向からやってきます。あちらの方が桜の見栄えがいいからなのかもしれません。
みなさんが伊万里方面を眺めているうちに、反対方向から列車がやってきました。もうすごい数の人たちがつぎつぎに桜の中を走る列車の写真をカメラに収めています。なんか今日で松浦鉄道がなくなってしまう日なのかと錯覚してしまうようなカメラマンの数です。
桜の駅として全国的にも名を知られるようになった浦ノ崎駅。その知名度に恥じない桜の森の美しさで人々の心をわしづかみにしていました。
かなり人が多くにぎやかでしたが、もし静かに桜を楽しみたいということでしたら、2駅ほど伊万里駅よりの久原駅の方が桜の本数は少ないですがカメラマンはほとんどおらずゆったりした気分で桜を眺めることができます。ローカル線の旅を楽しみつつ、桜の駅の美しさを堪能してもらいたいと思います。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2025年4月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。