
トランプ大統領 ホワイトハウスXより
日本時間4月3日(現地時間4月2日)、アメリカのトランプ大統領は、大規模な輸入関税の引き上げを行うと発表した。日本に影響が大きいとされた自動車に関しても、特段、日本を特別扱いすることはなく、大きな影響を受けると考えられる。
以下、その数字(予測値)の詳細について解説する。
一方、国会で審議されている新たな景気浮揚に関わる政策の詳細について、数字を見ながら解説し、日本企業への影響や我々の庶民生活に与える影響、国内の政策による今後の方向性について考察する。
トランプ関税の詳細(予測値を含む)
まず、これまで報じられてきたトランプ関税に関して、網羅的に列記し、日本への影響がある中身について、見ていこう。
1. 関税の基本方針
トランプ大統領は、選挙戦や就任後の発言で、アメリカの貿易赤字削減、国内製造業の保護、雇用創出を目的に輸入関税を積極的に活用する姿勢を示している。彼の政策は「アメリカ第一主義」を基盤とし、特に不公平とみなす貿易慣行を持つ国々への対抗措置として関税を位置づける。
一律関税
すべての国からの輸入品に対して10~20%の「普遍的基本関税(Universal Baseline Tariff)」を課す案が浮上している。これは、貿易相手国全体を対象にした包括的な措置で、国内産業を保護しつつ連邦政府の歳入を増やす狙いがある。
相互関税(Reciprocal Tariff)
相手国がアメリカ製品に課す関税率と同じ水準まで、アメリカがその国からの輸入品に課す関税を引き上げる政策。例えば、カナダがアメリカ製自動車に25%の関税を課した場合、アメリカもカナダ製自動車に25%の関税を課すという仕組。この「公平性」を強調するアプローチは、トランプ氏が「アメリカが搾取されてきた」と主張する状況を是正する手段とされる。
2. 具体的な対象と税率
トランプ大統領は特定の国や品目に対して、より高い関税を課す意向も示している。
中国
中国からの輸入品に対しては、60%という非常に高い関税を検討中。これは、第一次政権時(2018~2019年)に課した最大25%の関税をさらに強化するもので、不公正貿易慣行やフェンタニル流入対策を理由に挙げている。
メキシコとカナダ
北米の近隣国に対しては、25%の関税を課す方針が発表されている。特に自動車や鉄鋼・アルミニウムが対象で、不法移民や麻薬流入への対策として圧力をかける意図がある。
以下、主要国別の影響について表にしてみた。
トランプ関税の主要国への影響(概算)
また、各産業への影響は以下が考えられる。
自動車
すべての外国製自動車に25%の追加関税を課す案が具体化しており、2025年4月3日に発動予定と報じられている。エンジンや主要部品も対象に含まれる可能性があり、日本や欧州からの輸出に大きな影響が予想される。
鉄鋼・アルミニウム
第一次政権時と同様、全輸入鉄鋼に25%、アルミニウムに10~25%の関税を再導入する動きがある。2025年3月時点で既に発効が予定されているとの報道も。
3. 実施時期と法的根拠
時期
一部の関税(例: 自動車への25%関税)は2025年4月3日から発動予定とされている。また、相互関税の詳細は4月2日に発表され、ほぼ即時施行が計画されている。
法的根拠
トランプ政権は、通商拡大法232条(国家安全保障を理由にした関税)や通商法301条(不公正貿易への対抗措置)を活用する可能性が高く、これらは大統領権限で発動可能であり、議会の承認を必要としないため、迅速な実施が期待されている。
4. 目的と期待される効果
トランプ大統領と側近は、関税政策に以下の目的を掲げている。
製造業の活性化
関税で輸入品の価格を上げ、企業がアメリカ国内で生産するインセンティブを高める。特に自動車や鉄鋼産業の「アメリカ回帰」を目指している。
歳入増加
関税収入を財源とし、減税政策(例: 2017年減税の恒久化や法人税率の15%への引き下げ)の資金とする計画。自動車関税だけで年間1000億ドル以上の収入を見込む。
外交の武器
関税を交渉材料として使い、相手国に貿易条件の改善や譲歩(例: 中国の麻薬対策、日本への市場開放)を迫る戦略。
5. 日本への影響
日本はアメリカにとって重要な貿易相手国であり、特に自動車産業が関税の影響を受けやすい立場にある。
概算であるが、トランプ関税以後の日本への影響をまとめると、表のようになる。
トランプ関税による日本経済への影響(予測値)
製造業では自動車産業(対米輸出額の多いトヨタとホンダを例)の他、相互間税額が引き上がることへの影響を、消費者物価(CPI)と家計負担(年額)で挙げてみた。いずれも最大値を例に取っており、実質的な影響については、関税が発動後、更に詳しく出てくるだろう。
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以後、
・日本経済全体への影響
・日本政府の対応(政策)
続きはnoteにて(倉沢良弦の「ニュースの裏側」)。