もはや名刺を渡す行為はリスクしかない

黒坂 岳央

黒坂岳央です。

名刺交換は長らくビジネスの基本マナーとされてきたが、現在では特に個人事業主や小規模経営者にとって、リスクの多い慣習となりつつある。

本記事では、筆者自身の体験をもとに「なぜ今、名刺をやめるべきなのか」のリスクを紹介したい。

mapo/iStock

リスク1:勝手にメルマガ登録される

昔はなんの疑いもなく、まさか迷惑行為をする人がそこそこ世の中にいるとは思わず、普段遣いのメインアドレスを名刺に書いて渡していた。

しかし、名刺交換をした後、勝手に自社のメルマガ登録されてしつこく配信されるということが何度もあったのだ。

だが話はここで終わらない。ただ不要なメルマガ配信で営業されるだけでなく、おそらく企業側でメール情報が売られるか流出したかで、名刺交換後に一気に海外からの迷惑メールも増えてしまった。

メインで使用するアドレスに迷惑メールが増えると、それだけで営業妨害になってしまうのだ。

先方と連絡先の交換をする際は、Eメールではなく、相手に渡す連絡先はビジネスチャットが良いだろう。これなら仮に迷惑行為があっても、その相手をブロックするだけで解決する。

リスク2:しつこい営業をされる

名刺を渡すのはあくまで信用構築の始まりに過ぎず、その後お互いがWin-Winになる取引があって初めて本格的に商取引があって然るべきだろう。

しかし、過去に何度かあったのは一度でも名刺交換をすると記載した住所へ飛び込み営業を受け、しつこいセールスをされてしまうことだ。こちらは迷惑メール以上に応対する手間も時間も取られてしまうし、アポ無しだと営業妨害でしかない。また、DMなども届くようになると郵便物の管理も手間になってしまう。

これが自宅をオフィスにしている個人事業主の場合は、リスクが跳ね上がってしまう。Eメールアドレスだけでなく、住所を記載した名刺も安易に渡すべきではないのだ。

名刺を受け取るのもリスク

そして名刺を渡すだけでなく、相手から受け取るのもリスクがあると思っている。

これは絶対にあってはならないことだが、情報流出をさせる加害者になってしまうリスクということだ。大企業でも顧客情報が入ったパソコンを電車に置き忘れた、といった事故が話題になったように、名刺を外に置き忘れれば取引先からの信用失墜は免れない。

そのため、筆者は不要な個人情報はできるだけ受け取らないように工夫している。連絡先を記した名刺を受け取ったら、Eメールやビジネスチャットでつながった後は名刺をシュレッダーする。名刺には氏名、住所、電話番号などが書かれており、あまり長く保持したくはないのだ。

名刺は今なお一部の大企業との取引では有効な手段だが、個人や小規模事業者にとっては、プライバシーや時間を脅かすリスクが大きくなっている。

デジタル名刺やビジネスチャットなど、代替手段も進化している現在、名刺の扱い方を見直すことは、むしろ時代に即したスマートな選択と言えるだろう。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。

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