飛躍的に伸びるAI技術で認知症を克服できるか?

ひと昔前まではガンは不治の病とされていましたが、医学の発展と共にそのイメージは着実に変わりつつあります。そのポイントは早期発見と正しい対処かもしれません。

現代の人が最もかかりたくないと思うのが認知症ではないでしょうか?記憶の一部が薄れて、思い出せなくなり、ひどくなると5分前のこともわかりません。パソコンでせっかくワードやエクセルで作った文章や表計算を記憶させないで閉じるのと同じ。クローズボタンを押した瞬間に時間をかけた労作は元に戻らなくなります。(復元ソフトの存在はこの話では除外しておきます。)正直認知症の方と接していてかわいそうという気持ちと同時にこの方の人格をどう維持するのかと思うと認知症対策は真剣に行わねばならないと改めて思うわけです。がんと同様、認知症を克服することは果たして可能でしょうか?

metamorworks/iStock

私は2つの方法を重ね合わせることである程度の対策ができる気がします。

まず、自分が認知症にならないようにしたり、発症をできるだけ遅延させる努力すること。これはマストです。認知症は非常にゆっくりと進行します。だいたい20年ぐらいかけて水面下で進みますから40代後半から50代前半でそうなる人はそれが芽生え始めます。私の知る限り、認知症は身体能力や機能とは別問題です。一般には認知症になると寿命が普通の状態より短くなるとされますが、それは自己管理ができず、自分で悪くなっている部分が意識できないことにあると思います。仮に施設などに入れば長生きするケースもあるはずで一概には言えないと思います。

データによると近年は認知症に対する認識や知識が一般の方に広く伝わり、その予防策などが啓蒙されているため、有病率は2015年調査と2024年調査では5%ポイントほど下がっているそうです。つまりかかりにくくなっています。これは日本人の場合、認知症予防というより健康に対する意識が高まり、食事や日々の生活の改善が認知症予防にもつながっているのが理由だとみています。

ごく当たり前ですが、暴飲暴食、過度の飲酒、喫煙を控え、運動をして健康に良いものを食べるという工夫が認知症の発症をも遅らせるわけです。

ここまでは誰でもわかっていることです。ここからが私の独創です。

初期認知症になっている人がまだ記憶を引っ張れるうちにデジタルクローンを作る、というのが私のアイディアです。デジタルクローンはロボットのようなクローン人間が横にいるという超先端技術の話は倫理上いろいろありますのであくまでも認知症になりそうな方の予防措置という意味で画面上にデジタルクローンを作るのです。

たとえばコンピューターの画面に映るひろのデジタルクローンは本物のひろの顔にそっくりですが、それ以上に受け答えが本物のひろとほぼ同じなのです。趣味も考え方も行動規範も価値基準に至るまで全てほぼ同じ。とすれば将来、判断力が無くなった本物のひろに変わって本人の意思を代替できるとすればどうでしょうか?

「ひろさんはすっかりボケっちゃって!」という時、「そうだ、デジひろに聞いてみよう」というわけです。それにより本物のひろが望んでいることをデジひろが代わりに述べ、それに基づき、判断行為をしていくというわけです。

このヒントは先日、あるオンラインイベントに出席していた際、孫正義氏の弟の孫泰蔵氏がメインスピーカーで、ご本人から革新的な技術の準備をしているような話があり、「内緒」と言いながらも会話の流れからたぶんクローンを想定しているなと思わせたのです。(私が想像力を膨らませすぎたのかもしれませんが、自分の不得手な部分をカバーさせるAI技術という趣旨だったのです。)

もう一つはオルツという会社の存在です。この会社は米倉千貴さんという方が創業者なのですがもともとは米倉兄弟で事業を始めたのです。その兄貴分はバンクーバーにいて何度も接点を持ったのですがだいぶ前に兄貴だけがオルツから降りたという経緯があります。ただ、それがきっかけでオルツが日本で最先端のクローン技術を持っている企業の一つだということも理解しており、時折その進捗状況をチェックしていたのです。

孫泰蔵氏が述べていたのはAIが今後飛躍的に伸びるがそのバックグラウンドは「推論にある」という点でした。この推論をどういう意味で述べたのか判断できないのですが、私はDeepSeekの推論を指摘しているのではないかという気がしています。またDeepSeekは最新の報道では自己改善型モデルを目指しているとも報じられ、その場合、AIの根幹である「枠組み」を超えるような気すらするのです。オルツの米倉さんはクローンが本人を超えることはないとしていますが、SF映画のようにクローン人間の暴走が絶対にないとも言えないのかな、という気もしています。

いずれにせよ、オルツの米倉氏が言う本人を超越しないクローン人間ならば認知症になった人への支援としては絶大であると思います。もちろん、そうなるには法整備から倫理問題まであらゆる方面との調整が必要です。行政が追い付かないとクレームが来るかもしれませんが、技術の進歩とはそれぐらいのスピードで改革されているとも言えそうです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年4月13日の記事より転載させていただきました。

アバター画像
会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。