ジャイアンとトランプ大統領の違い

トランプ大統領の就任以降の政策は、自国中心の身勝手なもので、その傍若無人ぶりはドラえもんの登場人物ジャイアン(写真)に例えられています。

漫画ドラえもんの中でのジャイアンは、短気で喧嘩っ早い言動が多く「おまえのものは俺のもの、俺のものも俺のもの」という自己中心的で自分勝手な言動を繰り返しています。

2人は確かに似ているところもありますが、ジャイアンとトランプ大統領には決定的な違いがあると思っています。

まずジャイアンは子供の世界のガキ大将であり、法律やルールがない子供社会での絶対的な存在です。

一方で、トランプ大統領はあくまで民主主義によって選ばれたアメリカという国の大統領です。

アメリカの大統領は絶対的な権力を持ってはいますが、その基盤はあくまで民主主義による国民の支持を前提としたものです。

政策に対する国民の支持が得られなければ、選挙によって窮地に追い込まれることになります。

アメリカは2年後に中間選挙が行われます。それまでにトランプ大統領は目に見える結果を出さなければ、世界のジャイアンではいられなくなります。

また、アメリカは資本主義社会の中心にある国です。関税政策のような誤った経済政策に対してはマーケットメカニズムが働き、価格変動によって市場がアラームを出すことになります。

先週発生したアメリカ国債の急激な金利上昇はその典型です。

つまり、トランプ大統領はジャイアンほど自分勝手なことはできないのです。

そして、もう一つ忘れてはいけない事は、ジャイアンは漫画ドラえもんの世界でこれからも生き続けますが、トランプ大統領は4年後にはいない(はず)だと言うことです。

もし5年後、10年後をターゲットに長期投資をするなら、トランプ大統領の経済政策をそれほど気にする必要はありません。目先では嵐が続いたとしても、自分が目標とする時期にはトランプ氏はもはや1人の老人になっており、今吹いている嵐は収まっているからです。

ジャイアンとトランプ大統領は、どちらも実は心優しい憎み切れない存在ではありますが、2人の違いを理解すればこれからどんな投資をすべきかが明確になると思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年4月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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