空自は輸送を自分たちの本来業務ではないと思っているので、まともに輸送機を整備しようと思っていない。だからC-2買います!と公言しているだけで、老朽化するC-130Hの後継や近代化言わず、小口輸送をしてきたC-1の後継や小口輸送も考えていません。

C-2輸送機 防衛省HPより
実質的に空輸の荷主である陸自の発言権は低い。
前回ご案内した空自のC-130Rの後継も含めて、ぼくは統合作戦司令部直轄の3自衛隊合同部隊で輸送コマンドを作るべきだと思います。そこに空自の戦術輸送機、空中給油、海自の輸送機なども含めて統合部隊とする。回転翼機もふくめてもいいでしょう。特に陸自と空自のCH-47は統合して乗員や整備を統合すべきです。
例えば空自と海自のC-130部隊を統合してC-130Jを導入するならば予備機も少なくて済むし、機数は減らせるはずです。どれも毎日忙しく飛んでいるわけではない。また訓練や補給、兵站も共用化できます。何ならオスプレイは退役させるか、米海兵隊に売ってもいいでしょう。
人員は陸自から主に供出させる。その分陸自は縮小するが、本当にほしい輸送手段を手に入れるための発言権得られます。
重要なのは小口輸送と、特殊専用機です。小口輸送はSTOL機能がある数トンから10トン程度の輸送ができる機体を導入する。これは3自衛隊共通で有用です。特に陸の空挺降下の訓練や、離島への補給などで使えるでしょう。
それからC-130やC-27クラス、あるいはそれ以下クラスの特殊作戦用機材が必要です。それぞれ最低3機は必要ですが、空自ならば絶対予算化しません。他国では普通に所有している機材ですが、島嶼防衛を最重要視しているといいながら、これらの機材を持っていないのはおかしい。オスプレイよりも全然優先度は高いはずです。
更に申せば同様に空中給油機能をもった特殊作戦用のCH-47も必要です。オスプレイでは重量物を運べません。
陸空のCH-47も空中給油、ローターの折りたたみ機能は必要です。島嶼防衛であれば機内の大型燃料タンクを使うより給油機を使ったほうが、ペイロードが増大します。また統合運用を考えるのであればDDHなどを拠点や中継点に使うことも前提とすべきです。ローターの折りたたみができればハンガーに収納したり、整備ができます。そして使用は陸空共用にしてもいいはずです。また上陸作戦(強襲ではない)にしても大型ヘリは必要です。
そのためにはCH-47に給油する空中給油機が多数必要です。またその他の固定翼輸送機や戦闘機にも必要なので給油機を兼ねた輸送機の導入が必要不可欠です。例えばKC390などは進出速度も早く魅力的でしょう。
そしてC-2はこれ以上の調達をやめて、できるだけ早期に退役させるべきです。あるいは半分程度は部品取りようにつかって廃棄すればいい。調達費用はC-17と同じで、維持費は他の輸送機の5~7倍程度であり税金を燃やしているようなものです。
しかも不整地で運用できないので、戦時やPKOでは役に立ちにくい。応急措置で復旧した滑走路で運用しない「設定」の「お嬢様輸送機」を維持するのは税金の無駄です。根拠のない国産優秀説を振り回してテクノナショナリズムを充足させても戦争に勝てません。
事業統合もできず、将来日本の航空産業が世界に大型機を売るような未来線は存在しません。だから国産機にかける何倍も高いコストは全部無駄で、溝に捨てるようなものです。
将来的には輸送用の無人機もこの部隊で運用することになるでしょう。
統合作戦を見据えて、また効率的な運用を考えるであればこのような統合部隊が是非必要です。既に船舶では陸海自衛隊共用部隊の海上輸送群が発足しているので無理な話であるとは思えません。
■
■
財政制度分科会(令和6年10月28日開催)資料
防衛
防衛(参考資料)
財政制度分科会(令和6年10月28日開催)資料
防衛
防衛(参考資料)
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2025年4月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。








