3月下旬の日曜日、名古屋に帰省していました。
名古屋から遠く離れてわかったのは、自分、結構名古屋好きだったんだということ。食べなれていた名古屋めしや、行きつけのお店が恋しくなったりしました。
そして、名古屋にいたときは行ったことがなかったのに、名古屋を離れると名古屋周辺の観光地にもちょっと行ってみたいな、なんて気持ちが沸き起こってきたりしました。

そんなノスタルジックな気持ちに誘われてやってきたのは「ノリタケの森」。日本を代表する陶磁器メーカー「ノリタケ」が創業100年事業の一環でつくった産業文化公園です。
実はノリタケ、創業の地がここ、名古屋。しかも名古屋駅から徒歩15分ほどと徒歩圏内の場所に位置します。ここの住所は名古屋市中村区則武(のりたけ)。創業者の名前と勘違いされることの多い「ノリタケ」の名はこの地名からつけられました。
ちなみにノリタケに次ぐ洋食器メーカー「鳴海製陶(通称:ナルミ)」の本店も名古屋。緑区鳴海町にあります。そして木梨憲武さんと安田成美さん夫妻の結婚式の引き出物には両社の食器が用意されました。

「ノリタケの森」に入ると6本の煙突跡が目に飛び込みます。かつてここに工場があった時に排煙の役割を担った煙突は1933年の工場大改造の際に誕生しました。45メートルの高さがあり名古屋のテレビ塔と並ぶ高い建造物だったそうです。工場は移転しましたが煙突はそのシンボルとして一部を残しモニュメントとしています。

煙突の前にはここで工場が稼働していた年を現す銘板も。

煙突の東側は広場になっていて、市民の憩いの場となっています。緑の少ない都心部にあっては貴重な都会のオアシスです。ノリタケの森の一部はイオンも出店していて、買い物や店内のカフェで一服なんていう寛ぎ方も可能です。

広場の壁はかつて工場の基礎部分だったものを掘り起こして残したもの。擁壁を文字って「窯(よう)壁」と名付けられています。壁にかけられている皿にはノリタケの森基金に寄付をした人の名前が刻まれています。

壁の一番向こう、公園の一番端にある焼却炉のようなもの。これがノリタケの出発点、一号窯です。1904年から操業を開始、その後トンネル窯に移行するまで使用されてきた大切な窯が今もこのように保存されています。

こちらの赤れんがの建物も1904年建築。
旧製土工場として使用され、市の建造物資産の登録を受けています。
ノリタケの森は広場などの市民が寛げる場所のほかに、ノリタケの歴史を知ることができるウェルカムセンターや製品の数々が展示されているミュージアムがあります。

ウェルカムセンターの入り口。

食器だけでなく、セラミックス事業も展開しています。

こんな大きな砥石も作っているんですね。実はノリタケは砥石の分野でも日本のトップメーカーだったんです。知ってました?

こちらはミュージアム。100年余の歴史の中でノリタケが生み出してきた数々の皿や食器の数々が展示されています。

映画でしか見たことがない、
富豪の晩餐会の風景。

こんな食器で食事するの、一生に何回かしかないよね。
いつかはこんな食器を使って毎日食事を…と夢見ながらもう相当年を食ってしまいました。あ、そういえば今日誕生日だった。

再び外に出てみたら、レンガ倉庫越しのオオカンザクラがきれいでした。
園内にはノリタケの商品を販売するショップもあって食器を買い求める人で混雑していました。高級ではありますが、リーズナブルな商品も多く用意されています。名古屋駅に近く、ちょっとした散歩にも最適なノリタケの森。名古屋に来たときふらりと立ち寄ってみるのも楽しいと思います。

もうそろそろ木々も芽吹く頃かな。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2025年4月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。






