2024年3月の中古マンション平均希望売り出し価格は、東京23区で70㎡あたり9501万円と、前月より4.0%上がり、過去最高を更新しました。都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)では1億5612万円に達し、前年同月比で35.7%も上昇しています。文京区でも平均価格が1億円を超え、「億ション」が当たり前の状況になっています。
価格上昇の背景には、国内外の富裕層による投資マネーの流入、新築価格の高騰を受けて築浅中古物件への需要が増えていることなどがあります。新築マンションの価格はこの5年で約5割上がり、中古も6割以上上がっています。
首都圏全体(東京都・神奈川・埼玉・千葉)では、東京都の価格強含みや取引件数の増加が影響して、平均価格は5408万円となり、8カ月連続で上昇しました。
一方、城北・城東エリアなど実需層が中心の地域では、価格が高すぎて買い控えの動きが出てきており、練馬区や江戸川区などでは前月比マイナスとなっているとのことです。
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いま住宅を初めて買う人にとって、状況は非常に厳しいです。23区内で新築マンションを買うには、年収1000万円以上が最低ラインで、都心部では2000万円以上が必要とされています。中古物件まで視野を広げれば、年収750万円あれば手が届く場所もあります。
こうした不動産価格の高騰は、家を買ったかどうかで資産格差がついた10年の帰結だったとも言えます。
その一方で、金利上昇の影響も出始めており、無理なローンを組んだ人が支払いに行き詰まり、競売物件が15年ぶりに増加しています。今まで買えなかった人にとっては、中古市場にチャンスが出てくるかもしれません。
特に東京では子育て世帯の生活コストが非常に高く、世帯年収2000万円でも「全然足りない」という声も珍しくありません。
その背景には、重い税負担と社会保障負担、不動産価格の高騰があり、年収の高い層でも豊かさを実感できない現実がありますが、一方で、身の丈に合った支出計画が立てられなくなっているのかもしれません。