人に言うほど自分ではきちんとできない資産運用

資産運用で一番大切なのはアセットアロケーションという考え方に基づき40年近く自分自身の資産を増やしてきました。

アセットアロケーションが難しいのは、正解が無いことです。その人の年収、資産規模、家族構成といった外的要因だけではなく、性格、人生の目標といった違いからもアセットアロケーションは変わってきます。

さらに、同じ人であっても環境が変化したり、年齢を重ねればアセットアロケーションを変えていく必要性が出てきます。

高齢になればなるほどリスクの取り過ぎにならないように高リスク資産を減らしていくべきだと考えます。

具体的には私のように60代になると株式のような変動率の高いキャピタルゲイン型の資産の比率を減らし、債券や不動産のような変動率の低いインカムゲイン型の資産へシフトしていくべきです。

また、シニアになると人生の残り時間も気にする必要があります。

不測の事態がいつ起こるかはわかりませんから、事前に準備をしておく必要があります。

例えば、残された人たちに資産の全貌がわかるようにしておくこと、相続が発生した場合の手間と税金をなるべく軽減できるように準備しておくことなどは必須です。

と偉そうに書いてはいるものの、私自身の資産運用が人にアドバイスできるほどきちんと準備できているかと言えば、心もとない部分もかなりあります。

資産の全貌に関してはまとめたものを作っていますが、相続に関しては配偶者や子供がいませんから、準備をすることにあまり気が進まないというのが正直なところです。

次々と新しい投資対象に資金を投入してきましたが、そろそろリスクについてもっと真剣に考えて、不必要なリスク資産を減らしていくフェーズに入るべきだと真剣に考えるようになりました。

リスクの大きな資産としては暗号資産、海外不動産、未公開株式、事業投資などに未だにかなりの投資を行っていますが、投資対象を拡大することより縮小を意識していこうと改めて思いました。

といっても次々と新しい投資先が出てくるので計画通りにできるのかあまり自信はありません(笑)。

anyaberkut/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年5月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。