4人に1人が「アプリ婚」でも結婚は増えていない当たり前すぎる理由

こども家庭庁が2024年に行った調査では、15〜39歳の既婚者の約4人に1人がマッチングアプリで出会ったと回答しており、アプリ婚が激増しているそうです。

マッチングアプリは、Z世代の「タイパ」や「コスパ」を重視する価値観と親和性が高く、合コンや職場恋愛の減少という時代背景も後押しして、効率的に条件に合う相手を探せるツールとして広く使われるようになりました。また、コロナ禍の影響で対面での出会いが難しくなったことも、利用の拡大につながりました。

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しかし、見落としてはならないのは、こうしたアプリ婚の比率の増加は、全体の婚姻数が激減していることによる相対的な上昇にすぎないという点です。

参照:マッチングアプリで日本の結婚が増えぬ本質理由 東洋経済

注目すべきは、マッチングアプリが広がることで“恋愛強者”がますます有利になり、“恋愛弱者”との格差が拡大しているという現実です。

一方で、マッチングアプリならではの現象も生まれてきました。

しかし、婚姻数の全体的な減少という構造的な要因を無視してアプリ婚の広がりを評価するのは適切ではありません。実際、従来主流だった「職場」や「お見合い」、「友人の紹介」などによる結婚が大幅に減っており、その分がアプリ婚に置き換わっただけとも考えられます。

婚活市場で男性は買いたたかれる傾向がますます強まっています。

※「チー牛」(ちーぎゅう)は、暗くて目立たない性格や見た目の人を指すネットスラングです。語源は「チーズ牛丼を注文してそうな地味な顔」の略称から派生しました。

つまり、マッチングアプリはあくまで既存の出会いの手段が細った中で登場した新たなツールにすぎず、日本の婚姻数を実質的に押し上げているとは言いがたいのです。結婚の減少の本質は、「お膳立て婚」の消滅と、それに代わる仕組みが不十分なまま自由恋愛に委ねられている点にあるといえるでしょう。

昭和以前は「お膳立て婚」が一般的だったため、恋愛に不慣れな人でも結婚しやすい環境が整っていましたが、平成以降の自由恋愛の進行により、恋愛強者だけが結婚できる傾向が強まっています。