パートらの厚生年金加入拡大を閣議決定:手取りが大幅減少のおそれ

政府は16日、パートタイムなど短時間労働者の厚生年金加入を拡大することを柱とした年金制度改革法案を閣議決定し、国会に提出しました。

https://twitter.com/inuinu541698/status/1923211563457970323

参照:パートらの厚生年金加入拡大 「106万円の壁」は廃止へ

この法案では、いわゆる「106万円の壁」と呼ばれる年収要件を撤廃し、週20時間以上働く人は年収にかかわらず厚生年金に加入できるようにします。

企業規模の要件も緩和し、2027年から段階的に縮小し、2035年には撤廃する予定です。

一方で、保険料負担による手取り減を懸念する声に対応し、企業が一定期間、保険料を多く負担できる仕組みを導入し、その負担分は全額支援するとしています。

会見する玉木雄一郎代表 国民民主党HPより

「106万円の壁」に代わって「週20時間の壁」が新たに意識されるようになり、パート主婦がその時間を超えないように働き方を調整する動きが広がるおそれがあります。これにより、深刻化する人手不足にさらに拍車がかかる可能性があります。

当初、厚生年金の積立金を活用して基礎年金を底上げする案が検討されていましたが、給付水準が一時的に下がることや国庫負担の増加への懸念から、自民党内で反対の声が強く、最終的に法案には盛り込まれませんでした。しかし、結果として国民民主党の提案は、正社員の手取りを増やす一方で、パート労働者の手取りを大幅に減らす内容となってしまっています。

さらに、高所得者の保険料を2027年から段階的に引き上げ、年収798万円以上の会社員などが対象になります。高齢就労者に対しては、在職老齢年金の支給制限を緩和し、2026年からは月62万円までの給与・年金合計で減額されないようにします。

法案は20日の衆議院本会議で審議入りする予定で、政府・与党は今国会中の成立を目指していますが、野党の協力が不可欠で、成立には予断を許さない状況です。