常に気持ちに余裕がある人はここが違う

黒坂岳央です。

平成は「手を出したら負け」だったが、令和は「余裕をなくしたら負け」というルールに変わった。

人間関係、投資、仕事などあらゆる活動において余裕をなくした方が負けるようにできている。その本質があるからこそ、たとえば詐欺師はとにかく被害者の余裕を奪うことに特化して行動する。

筆者が仕事で関わる人や、自分自身が人生経験を経ることで「気持ちの余裕」はどこから生まれているのか?について解像度を高めることができたと思っている。

この記事では、ビジネスパーソンが感情の余裕を維持するための5つの実践的なアプローチを紹介する。最初にお断りしておくと、今の自分ができているから言える話というより、昔はうまくできず苦しんだ経験から得た教訓だ。

shapecharge/iStock

1. 不快な人は損切り

人間の感情の大部分は「ホルモン」で決まってしまう。

睡眠、食事、体力などの変数は自分自身でマネジメントすることが可能だが、一方で人間関係という外部からもたらされる因子についてはコントロールできないのが普通だ。

もちろん、仕事をする上では自分に合わない人とも一緒に進めなければいけない局面はどうしてもある。

だが、世の中には一定数どうしようもなく相性が悪い相手がいる。関わってもデメリットしかなく、愚痴不満ばかりでこちらのエネルギーを奪いとるような相手だ。

優秀な人はこうした相手を上手に回避する。自分自身、記事や動画を出すとありがたいことに、建設的な意見をくださる方もいる。

その一方で、何も得られないアンチコメントを送ってくる相手もどうしても出てしまう。そういう内容だと感じたら、相手の悪意が脳に到達する前に瞬間的に即ブロックや非表示をして自分の世界から消す。すべては自分のメンタルを守るためだ。

「嫌な人の意見にもきちんと耳を貸すべきでは?」という意見も世の中にあるが、わざわざ嫌な相手から聞かずとも、マーケットからのジャッジを受けて改善すれば十分なのである。

感情的な悪意や建設的でない批判にまで反応していては、重要な判断や行動の余裕が奪われてしまう。だからこそ、そういったノイズからは距離を置くことが重要なのだ。

2. 強い自己肯定感

仕事ができる人は例外なく、自信がある。その根底には過去に仕事で結果を出したり、もしくは現在進行系で新たなる挑戦で自己肯定感を作っている。

強固な地盤がある人は、他人の批判や言動に振り回されることはない。変数は自分の中にのみあるなら、当然メンタルも安定する。

その逆に自信がない人は周囲からの評価や対応がメンタルに直結するため、相手しだいで自分のご機嫌が激しく揺れ動くことになる。これでは非常に精神が不安定になる。

おすすめしたい考え方は「自分はこの世でたった一人で舞台に立っていて、周囲は全員観客」という発想だ。これは他者を下に見ているのではなく、主役は自分だけなので自分の人生や充実感は自分の手で作るという考えを持つためのものである。

3. 複数の選択肢を持つ

盤石なビジネススキル、経験、実績がない中高年が勤め先が倒産したら路頭に迷う。たった1人しかいない人間関係が絶たれたら天涯孤独になる。誰しも、選択肢がたった1つしかないと不安定になるのだ。

だが、優秀な人は常に複数の選択肢を持っている。複数の仕事を持ち、それぞれ個別の収入だけで生きていけるなら、1つがダメになってもバックアップがあるという余裕が維持できる。人間関係が豊富であれば、1人、2人どうしても合わずに仲違いしても、孤独に落ちることはなくなる。

4. 時間持ち

人間関係において、「自分が時間持ちかどうか」は精神的余裕に大変大きな影響を与える。なぜなら、人付き合いは本質的にお金はかからなくても時間は必ずかかるからだ。

筆者は子持ちの親という立場柄、学校や園で保護者や子どもたちとコミュニケーションを取る機会が多いのだが、イライラして子どもにきつく命令する親がいる一方、子どものペースにあわせて余裕の気持ちで待っている親もいる。両者の違いは明らかに「時間の有無」である。

もちろん、時間がないことを責めるつもりはない。仕事や家事で忙しい人はどうしても余裕がなくなり、「早くしなさい」と子どもの操縦桿を握ってテキパキ終わらせたいと思う瞬間はあるだろう。

大人同士の人間関係でも、時間持ちかどうかは大きく影響する。筆者は会社員の頃はとにかく時間にケチだった。一日も早く脱サラして自分のビジネスで食べていきたいと思っていたので、「この時間を仕事にあてたら生産的だろうな」と思うこともしょっちゅうだった。

しかし、今は仕事の質をコントロールしやすくなり、余裕を持てる場面も増えたという実感がある。結果として比較的気持ちに余裕を持って相手と接することができるようになった。

人間、焦っている時は誰しも本来の実力の半分以下に落ち込む。だから気持ちの余裕は、自分が持っているパフォーマンスを最大化するために重要なことなのだ。

 

■最新刊絶賛発売中!

[黒坂 岳央]のスキマ時間・1万円で始められる リスクをとらない起業術 (大和出版)

アバター画像
働き方・キャリア・AI時代の生き方を語る著者・解説者
著書4冊/英語系YouTuber登録者5万人。TBS『THE TIME』など各種メディアで、働き方・キャリア戦略・英語学習・AI時代の社会変化を分かりやすく解説。