出口里佐です。本日ご紹介するのは、駒込駅からほど近い場所に佇むレストラン「オステリア・セルヴァジーナ」です。

オステリアセルヴァジーナのエントランス
この日の午後、私は上野の東京文化会館でバーミンガム・ロイヤル・バレエ団による『眠れる森の美女』を鑑賞しました。

バーミンガム・ロイヤルバレエ団、眠りの森の美女。
上野の東京文化会館ロビーにて
華やかな舞台装置に包まれたその世界観は、現実を忘れさせるほどの別世界。その余韻を胸に、山手線でわずか10分、駒込駅へと向かいました。
夫とはお店で待ち合わせ。方向音痴の彼にしては奇跡的なタイミングでお店の10メートル手前で合流でき、胸を撫で下ろしました。18時30分の予約には少し早めに到着。まずは乾杯から。
夫はコエドビールの「伽羅」、私は自家製ジンジャーシロップのホエイ割りを選択。こちらのお店にはチーズ工房が併設されており、新鮮なホエイ(乳清)を使用したドリンクは、まろやかで深い味わい。一度飲めば忘れられない、クセになる一杯です。

コエドビールの伽羅(Kyara)、手前は、自家製ジンジャーシロップのホエイ割り
前菜のスターターは「とうもろこし・ゴールドラッシュの冷製ヴェルタータと自家製リコッタチーズ」。ほのかな甘みのとうもろこしに、なめらかなリコッタが絶妙に絡みます。

トウモロコシの冷たいヴェルタータ、リコッタチーズ
続いては「猪のフェガティーニと自家製生ハム3種」。瓜坊のレバーペーストにノビルのピクルスが爽やかなアクセント。生ハムは、塩気も旨味も見事なバランス。

猪(瓜坊)のフェガティーニ、ノビルのピクルスのせ。自家製生ハム三種。

作り立てブッラータ、カプレーゼ仕立て。
「作り立てブッラータのカプレーゼ仕立て」は、まさに至福の一皿。出来立てのブッラータを味わえる幸せを、日本で体験できるとは。完熟トマトとバジルとともに、パンで皿のソースまですくって堪能しました。
「サルデ・リピエーネ アンチョビとサフランのソース」は、鰯のパン粉焼きに鮮やかなサフランの黄色が映え、アンチョビの塩気がアクセントに。

サルデ・リピエーネ(鰯のパン粉のせ焼き)、アンチョビとサフランのソース。
「ストラッチャテッラチーズを詰めた花ズッキーニのフリット」は、ミント香るズッキーニソースとともに。軽やかで油っぽさは皆無、プーリアらしい爽やかな一皿です。

ストラチャテッラチーズを詰めた花ズッキーニのフリット、ミントとズッキーニのソース。
プーリアでは、ミントが良く使われるそう。
メインのパスタは「アンズ茸の手打ちタリアテッレ」。日本では“アンズ茸”と呼ばれるジロール茸を贅沢に使い、自家製のタリアテッレと濃厚に絡み合います。

アンズ茸(ジロール茸の和名)の自家製手打ちタリアテッレ。
メインディッシュは「北海道・ボウヤファームの仔羊と野菜の薪火焼き」。仔羊の内臓を使ったソーセージと二種のロースト、そして行者ニンニクのピュレが香ばしい薪火の風味を引き立てます。

右から仔羊の内蔵のソーセージ、真ん中と左は仔羊肉のロースト、ジャガイモと万願寺唐辛子も全て薪火で、香ばしい。右端は、アクセントの行者ニンニクのピュレ。
デザートは「ホエイのアイスクリームと完熟メロン」。ホエイの優しい甘みが、みずみずしいメロンと溶け合い、食後の幸福感をさらに引き立てます。

優しい味わいのホエイのアイスクリームと完熟メロン。セルヴァジーナのホエイ、大好き人間にはたまらない味。
最後にいただいたのは、私のお気に入り「黒文字のハーブティー」。シェフの実家・秋田から届いた黒文字を店内で乾燥させたもので、香り高さが格別。これもまた、リピーターが後を絶たない理由のひとつでしょう。

黒文字ハーブティー。お花も浮かんでます。
森の香りがして、森林浴しているような気分に。
お土産に、自家製のタラッリをテイクアウト。これもまた次回が待ち遠しくなる逸品です。
この日の会計は2人で約23,000円。素材へのこだわりと料理の完成度を思えば、むしろ良心的。
駒込の静かな通りにたたずむこの一軒は、イタリア・プーリアの風を感じることができる、まさに“都市のオアシス”。ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
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