私たちが日常で入る「保険」とは、本来どういうものでしょうか。
火災保険でも、自動車保険でも、旅行保険でも、「万が一」の大きなリスクに備えるのが保険の基本です。
たとえば自動車保険は、事故を起こさず保険を使わない人ほど割引が増え、保険料がどんどん安くなる仕組みです。逆に、事故を起こして保険を使えば、翌年から保険料は跳ね上がります。
これが保険の原理原則です。
「リスクに備え、なるべく保険は使わない」という意識を社会全体で共有することで、保険制度は健全に保たれています。
しかし、日本の医療保険は、世界でも珍しい逆転現象が起きています。
年齢を重ねるほど負担が軽くなる日本の特殊ルール
日本では年齢が高くなるほど、医療の窓口負担がどんどん安くなるという仕組みが定着しています。
しかしこれは、実は世界標準ではありません(※要ファクトチェックですが、私が調べた限り、ここまで年齢だけで負担が軽減される制度はほとんど見当たりません)。
高齢になれば病気になる頻度が高くなり、医療サービスを多く利用するのは当然です。
それなのに負担が下がる――。
これは保険の原則からすると明らかにおかしいのです。
むしろ、普通の保険ならよく使う人の方が保険料や負担額が高くなるのが自然。
ところが、日本の医療保険は「使う人=高齢者ほど安くなる」という真逆の設計になってしまっています。
これでは、医療費が膨張するのは必然です。
医療保険の膨張を止めるために必要なこと
私は**「高齢者ほどもっと負担を上げろ」とは言いません。**
ただ、せめてスタートラインとして**「一律三割負担」に戻すべき**だと考えています。
保険は、なんでもかんでもカバーすればいいわけではない。
誰もがいつでもどこでも、軽い風邪や湿布、OTC類似薬まで保険で賄い、しかも高齢者ほど負担が軽い――これでは医療財政は持ちません。
保険は、「万が一の大きなリスクに備えるもの」に近づける努力が必要です。
社会保障を持続可能にするために。
世代を超えて支え合うために。
私はこれからも、医療保険制度の適正化、そして公平な負担のあり方を訴え続けます。
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編集部より:この記事は、前参議院議員・音喜多駿氏のブログ2025年7月日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。