「押しかけ成功率100%」を誇る赤沢大臣、日米関税協議は崖っぷちに

赤沢亮正経済再生担当大臣は、トランプ米政権との関税交渉のため、4月以降7度にわたり訪米してきました。しかし、記者会見では交渉の不透明さをにじませましたが、「羽田を飛び立つ時点で交渉日程が未定なことが多かった」と明かし、渡米は一方的な「押しかけ」だったことが明らかとなり、関係者の間では絶望的な空気が流れました。

6月末の7回目の訪米では、目標としていたベッセント財務長官との会談が実現せず、代わりにラトニック商務長官とは1時間の面談と2回の電話会談を行いましたが、トランプ政権との合意の目途は立っていません。

トランプ政権にほとんど相手にされていない赤沢大臣は、交渉の手応えがまったくつかめない状況を「五里霧中」と表現しました。日米間の関税交渉は、打開の糸口が見えないままです。

トランプ大統領は、日本の自動車に30%から35%の高関税をかける考えをはっきり示しており、日本の自動車産業にとっては非常に厳しい状況です。

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赤沢大臣は「農業を犠牲にするような交渉はしない」と強調し、日本のコメ政策へのトランプ氏の不満にも「生産者の安心できる環境づくりが政府の責務」と述べましたが、9日に期限を迎える「相互関税の猶予期間」により自動車への関税の回避は難しくなってきました。

すでに日本車の北米向け輸出価格が過去最大の下落となり、企業は関税の負担を価格に転嫁せず、自ら吸収しています。そのため利益率が大きく悪化しています。自動車産業は日本の輸出を支える重要な柱であり、収益構造が崩れれば日本の産業基盤そのものが揺らぎかねません。

石破茂首相は、アメリカが求める対日貿易赤字の削減に応じる形で、日米の関税交渉でアメリカ車の輸入拡大を議論する考えを示しました。しかし、その実現手段については不透明です。まさか政府が税金を使って米国産の車を買うつもりなのでしょうか。

トランプ政権も、早く結果を出さなければならないという焦りを感じているようです。交渉は日本だけでなく18カ国とも同時に進んでおり、どこも決着がついていません。しかしその中で、日本が最も圧力に弱く、赤沢大臣は足元を見られており、とても妥協点を探れるような交渉状況ではありません。

 

赤沢大臣は「日米双方の利益となる合意を目指す」との姿勢を示しましたが、次回の協議日程はまだ決まっておらず、7月9日の関税猶予期限が迫る中、交渉は依然として困難な状況にあります。

石破首相と赤沢経済再生相 首相官邸HPより