
S&P 500は再び棒上げになった。このような場面では細かい分析は不要であり、先週の記事でも「1日2%以上の押しが来たら別だが、この区間では基本的に押したら押し目買い、くらいしかできることがない」としていたが、まともな押し目も見られないまま連日の過去最高値更新となった。

月末も債券買いにはなったものの株式売りリバランスの方は見られなかった。JPMカラー(JHEQX)は6480 / 5850 / 4940にロールされた。火曜7/1に発表された堅調なJOLTSを受けて早期利下げ期待が剥落したところで、これまで調子がよかったラージテックからの資金流出が目立った。
前回のこのような派手なモメンタム反転が観測されたのがDeepseekショックであったため縁起は悪いが、この動きは長続きしたわけではなく、1日で概ね終わっている。木曜の独立記念日前の半ドンで雇用統計とベトナムとのディールを通過して引けピンで引けているが、休暇の間に書簡が気になり始めたのか、マイナス域の推移が続く。

GS CTAは最高値更新を受けてか一段と買戻しを予想する。

DBの統合ポジショニングは30から35パーセンタイルに伸びたが、まだ少しアンダーウェイトである。

バークレイズのシステマティック勢ポジションも徐々に買戻しが続く。1ヶ月リアライズドVolは年率10%程度になっており、7月1週目を通過すると、その間に大幅な値動きがない限り、3ヶ月リアライズドVolからも4月の関税ショックが抜け始めるため、より長いリアライズドVolを読み込むVolコントロール系の戦略も買戻しに動きやすくなる。

BofAによると関税ショックで一時毀損したレバレッジETFの残高は再び膨らんできた。これは原資産が上昇した時の引け前の追い掛け買い、下落した時の引け前の追い掛け売りの規模が大きくなることを示唆する。

バークレイズのユーフォリア指数は急速に上昇している。このようにバブル手前(フロス)と評され始めているが、ユーフォリア指数自体は過去対比ですごく高いわけではない。FOMOでコール買いが盛り上がったり、かなり久々にARKなどの高リスクセクターを追い掛ける動きが観測され始めた。逆張りで降りるよう勧める声も出てきた。

CNNの恐怖指数がExtreme Greed域に入ったのが話題であるが、曲げるのはあくまでも機関投資家のセンチメントであり、機関投資家のセンチメントの曲げ方と比べると、恐怖指数はそこまで逆指標ではない。

その曲げる「機関投資家のセンチメント」、或いは「曲げる機関投資家」のセンチメント、を表すNAAIMは99ポイントを付けており、過去100が上限というわけではないものの、極めて上限に近くなっている。2週間前のピークは逆指標として役に立たなかったが、再び上値追いで曲げる可能性は高まりつつある。

NAAIMとは逆にインサイダーの売りはやや長引いている。

自社株買いはほぼ完全にブラックアウトに入ったため、買い手はシステマティック勢に限られてくる。

7月のシーズナリティはかなり強く、最後に7月がマイナスに終わったのは2014年である。シーズナリティが悪化し始めるのは8月に入ってからである。

ここからの一週間は指標も重要な決算もなく平和であり、せいぜい来週のCPIが少し警戒されている程度である。ただ7/7月曜の米国時間正午に書簡送付がデジタルイベントとして控えており、ここに主要国が入るかどうかが要チェックである。
イーロン・マスクがアメリカ党を結成するとのニュースはTSLAにとってややネガティブと見られている。書簡まで消化できればあとはあまり懸念材料がなくなってしまう。

テクニカル。週足は実体の長い下ヒゲ陰線となり、6175が週足サポートとなる。連日の過去最高値更新からレジスタンスの方は見つけづらく、6175までの区間で再び淡々と押し目買いをするしかない。
通商関連のイベントの影響は、やはり1日2%の下げを作れたかどうかで決定される。週足的には6175を下に切ったら再考になる。それさえもないならイベントショートは危険である。
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編集部より:この記事は、個人投資家Shen氏のブログ「炭鉱のカナリア、炭鉱の龍」2025年7月7日の記事を転載させていただきました。






