中医協が認知症薬レカネマブ値下げ検討:効果の薄い「年間300万円」超高額薬

エーザイと米バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ(製品名レケンビ)」の薬価が引き下げられる見通しとなりました。現在の薬価は年間約300万円と高額ですが、厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)は「費用対効果が悪い」と評価し、最大で15%の引き下げが検討されています。

レカネマブは、軽度の認知症やその前段階である軽度認知障害(MCI)に対して、認知機能の低下を27%抑制し、進行を数カ月遅らせる効果があるとされます。しかし、軽症者を対象とするため、介護費の削減にはほとんど寄与しないと指摘されました。国立保健医療科学院の試算では、現在の3分の1の価格が妥当とされています。

アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」を正式に承認した武見敬三厚生労働相(23年9月当時)

一方、ネット上では「薬価300万円に対して得られる成果が『主治医の名前を言えた』『セブンイレブンの場所を覚えていた』といったレベルでは費用に見合わない」といった批判も見られ、社会的な議論を呼んでいます。

https://twitter.com/MurasakiScience/status/1935984788302868847

エーザイ側は、公的な分析手法では評価が過小にされていると反論し、投与期間や患者・介護者のQOLを含めた自社分析では、より高い費用対効果が示されると主張しています。

また、英国の国立医療技術評価機構(NICE)は、レカネマブを含むアルツハイマー病治療薬について、公的医療保険制度での使用を奨励しないとする最終勧告案を示しており、国際的にも厳しい評価が出ています。今後、限られた医療財源の中で高額薬の扱いをどうするかが重要な課題となりそうです。

レカネマブ(製品名レケンビ) エーザイHPより