イスラエルが少数民族保護を理由にダマスカスを空爆:ネタニヤフ首相の政権浮揚策か

イスラエル軍は7月16日、シリアの首都ダマスカスにある暫定政府の軍本部や大統領宮殿付近の軍事施設を空爆しました。

この空爆は、シリア南部スワイダ県で続くドルーズ派(イスラム教の少数派)とベドウィン(遊牧民)との衝突への対応として、ドルーズ派住民を保護することを名目に実施されたとしていますが、攻撃対象が広範すぎるという疑念もぬぐえません。

空爆により、少なくとも3人が死亡し、30人以上が負傷したと報じられています。また、13日以降の衝突では300人を超える死者が確認されています。イスラエル政府は、シャラア暫定大統領の政権を「ジハード主義者の偽装」と非難し、南部への軍展開は容認できないとの立場を示しています。

アメリカのルビオ国務長官はイスラエルとシリア両国と協議を行い、緊張緩和に向けた具体的な措置で合意したと述べました。国連のグテーレス事務総長も空爆を非難し、シリアの主権を侵害する行為の即時停止を求めました。

一方、イスラエルではネタニヤフ政権の一角を占める超正統派政党が政権離脱を表明し、政権運営に不安が広がっています。議会では与党枠にとどまるため形式的な過半数は維持されますが、政権の基盤は揺らいでいます。

空爆のようす NHKより