「進次郎、今回はやめておけ!」が地元の声

石破総裁退陣を受けた自民党総裁選が、9月22日告示・10月4日投開票の日程で行われる。去年の総裁選で共に下位だった茂木敏允と小林鷹之が12日までに名乗りを上げた。高市早苗と小泉進次郎農水相が出馬の意向と各紙が報じ、岸田・石破両政権の女房役林芳正官房長官の名前も挙がる(敬称略)。

12日の『NHK』は、「小泉農林水産大臣は、立候補に向けた調整を本格化させていて、12日の記者会見で、地元支援者の意向も聴いた上で最終的に判断する考えを示しました」と報じた。が、同じ日に進次郎氏が県連会長を務める神奈川県の地元紙が、小泉支持者をドキッとさせる記事を掲載した。

小泉進次郎氏 自民党HPより

その地元紙とは「神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙」と銘打つ『タウンニュース』。当該記事は12日の「横須賀・三浦版」に「田浦メガソーラー施設 上地市長『景色に違和感』」なる見出しで掲載された。以下がその全文である。

横須賀市議会9月定例会で、再生可能エネルギーの導入と自然・景観保全を巡る議論が繰り広げられた。舞台は同市田浦地区で2024年12月に稼働した「湘南田浦メガソーラー」。一般質問に立った日本共産党のふじそのあき議員が「事業者が森林を伐採して設置したソーラーパネルの異様な光景に地元住民の戸惑いが広がっている」と発言した。SNSでも「森が消滅してパネルになった」といった批判的な声が上がっており、現状の姿を問題視。ゼロカーボンシティを掲げる横須賀市の施策と景観保全の整合性について上地克明市長に質し、「市独自の設置ルールを設ける必要がある」と主張した。

これに対し、上地市長は「私も違和感を持っている」と述べ、パネルの不規則な並びについて、景観の悪化を認めた。だが、事業者は国の法令に基づいて事業を進めており、規制することの難しさを伝えた。森林伐採による土砂崩れの懸念が市民の間で高まっていることについては、「今回の件を教訓に全国の事例も参考にしながら、景観や土地利用を規制する条例を検討していきたい」と答弁した。再エネ促進の行動計画である「ゼロカーボンシティ横須賀2050アクションプラン」が規制を目的としていなかったことに対しても、今後見直していく可能性を示唆した。

筆者は横須賀で生まれ育ったので、上地市長は高校(大学も)の2年後輩。猪熊功を輩出した柔道部3年の時、黒帯の彼が入部して来た。彼と同クラスだったご夫人とのデートも何度か目撃した。横須賀稲門会なる学生会でも、体育会系で礼儀正しく、酒も強いうえ芸達者な彼は、いつも学生の輪の中心にいた。

卒業後の78年には、河野洋平や山口敏夫らの「ハト派」議員と共に自民党と袂を分かち、新自由クラブを結成した田川誠一衆議院議員の秘書となった。03年に横須賀市議になるまで、何度か神奈川県議に挑んでは落選していたが、市議選では、17年に市長選に勝つまで4期続けて当選した。

その17年の市長選では、これも上地の高校・大学の後輩吉田由人の4選を阻んだ。地元では、吉田が意に沿わない小泉家の意向があったなどとも囁かれた。が、小泉純一郎との確執も噂されて自民党を離れた田川誠一の秘書だったという経歴を見ても、上地が自民ドップリかどうかには疑問がある。

そこで「田浦メガソーラー」に戻れば、今は金沢八景在住の筆者は、しばしば友人の多い横須賀まで足を伸ばす。その度に、京急の車窓からその醜悪な光景を見て、チッと舌打ちするのである。そんなタイミングで掲載された『タウンニュース』、どうか本欄の読者諸兄姉にも記事の惨状写真をご覧願いたい。

市長にこれを質した共産党市議はgood jobだ。が、同党の主張は「気候危機打開のためには、温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーの活用が不可欠」とする一方、「再エネ普及の障害 乱開発を許さないルールこそ(必要)」というもの。

「乱開発」が何を指すかは不明だが、自然を破壊せずにパネルや風力ローターは設置できない。再エネ推進派は自家撞着に陥っているのである。上地市長は、「違和感」があるなら、それが小泉親子に弓を引くことになっても、独自の規制を、三浦・逗子・葉山・鎌倉の三浦半島市町と協力して設けるべきだ。

12日の『産経』は、「小泉進次郎農水相、総裁選は『地元の声伺って最終判断したい』 地元では出馬気運高まる」との見出し記事を掲載した。が、それを読んだ三浦の知人は、筆者にこうLINEして来た。

それは進次郎のことを本当に心配している地元の応援者ではない! 彼を利用して自分の利益を考えている輩だ。

筆者の知人の多くは古希を過ぎた同輩で、みな進次郎を子供のように思っている。まして彼は好人物、知人らにしてみれば、「輩」に担がれて臨む総裁選の論戦で去年と同じ目に遭うであろう姿や、万が一乗り込むことになった泥船もろとも沈んでしまう彼の姿を見たくないとの親心がそう言わせるのだろう。

進次郎よ、この先いくらでもチャンスはある。まだ間に合う、今回はやめておけ!