
自民党HPより
自民党総裁選が告示され、5氏が立候補しました。ほとんどの候補者が「解党的出直し」を強調しながら、「何が解党的出直し」になるのか、「解党的出直しのために何をするのか」の中身の説明がなきに等しかった。
解党どころか、「『党内融和』を掲げ、内向き論戦。裏金議員の要職起用も示唆」(朝日新聞)とみられています。「解党」は言葉だけで、本音は「党内融和」なのでしょうか。
小泉氏は「再び解党的出直しが求められている。国民の声を聞き、国民の不安と向き合う」と。小林氏は「解党的出直しにあたり、新しい世代が自民党、日本を動かしていく」と。国民の声を聞くのは当然で、それからどう解党的改革をしていくのかがありません。小林氏が世代交代を言うのなら、世襲の制限が必要でしょう。世襲が新しい政治人材の参入障壁になっていることは明らかです。古いタイプの政治家の再生産の場が永田町です。
解党的出直しというのならば、古いタイプの自民党議員の再生産から抜け出す方法を考えることです。
茂木氏は「結党以来、最大の危機にある。挙党体制を築き、思い切った人材登用でベストチームを作る」と述べ、やはり「解党」ではなく、「挙党」です。「閣僚の平均年齢を10歳若返らせる。3割は女性を起用する」はいいにしても、「85歳の麻生詣で」が続いている現状をどう思っているのか。
高市氏は「日本をいま一度、洗濯する。公平で公正な日本を実現する。たくさんの女性がいる内閣を作る」の決意を勇ましく述べながら、「皇統が男系で引き継がれよう皇室典範を変える」とは、矛盾した発言です。
各候補は、物価高対策、ガソリン暫定税率の廃止、実質賃金の1%上昇、特別地方交付金の創設、災害予算の増額など、内政上の課題を列挙するのに熱心でした。戦後80年の世界経済秩序、法秩序、民主主義、言論の自由を否定し、国家主導型経済に転換させ、トランプ氏の独裁政治による支配が加速しています。
これまでの同盟国関係は危機に瀕し、トランプ氏の試みが中露北の関係強化、グローバルサウスの結束をもたらしています。
日経新聞が「世界の中の日本を語れ」と、大きめのコラムを掲載しました。これが肝心なポイントです。朝日新聞社説は「国の針路、徹底論戦を」の見出しで「党の存在意義がかかったリーダー選びとなる」と主張しながら物価対策、ガソリン税の暫定税率の廃止、年収の壁の引き上げ、財政の持続可能性に言及するのもの、全文が国内問題に終始しています。いけません。
政治担当記者だけが政治社説を書くようなことは止め、米国担当、欧州担当などが日本政界の動きを国際比較しながら書いてみることです。新鮮な印象を与えるでしょう。新聞が読まれなくなっているのは、そういう試みをしようとしない編集幹部の頭脳硬直も新聞離れの一因です。
読売新聞の社説は「物価高対策だけでは不十分だ」の見出しで「課題は内政にとどまらない。ロシアのウクライナ侵略の収束の兆しは見えてこない。日本は国際社会の平和と安定にもっと力を尽くすべきだ」と指摘しています。
前回のブログに書きましたように、「これまでの世界は終わりつつある。世界は複数の極からなり立ち、様々な地域連合が生まれており、それとの協力関係が必要になる。日本は米国依存偏重を修正する時期に来ている」という問題意識は総裁選の需要テーマです。メディア関係者にとっても同様です。
編集部より:この記事は中村仁氏のnote (2025年9月23日の記事)を転載させていただきました。オリジナルをお読みになりたい方は中村仁氏のnoteをご覧ください。






