自民党で初の女性総裁誕生にまずはおめでとうと申し上げます。10月15日頃に首相指名の臨時国会があります。これから10日間に高市氏が発する様々な発言を受けて野党がどのような反応を示すか次第ですが、私が見る限り、野党幹部もまずは手腕を見ようではないか、という感じではないかと思います。

高市早苗新総裁 自民党HPより
早速挨拶に行った公明党の斉藤代表は氏の靖国参拝や政治とカネ問題、更には外国人との共生に対するスタンスに懸念を示したとされます。ただ、懸念であって即連立解消ということにはもちろんならず、斉藤氏もまずはハネムーン期間を見届ける、そんな感じになると思います。
よって現状、このまま首相に指名されるとは思います。つまり日本初の女性首相の誕生の可能性は極めて高いと思います。
ハネムーン期間は100日程度とされますので日数的ズレはありますが、26年年始までは様子を見るのでしょう。個人的想像ではありますが、26年度予算編成が内政について一つの山場になるとみています。つまりどの程度、財政拡大とそれを補う財源を考えるか、国民と野党の声をどう拾い上げ、財務省とどう対峙していくのか、手腕の見せ所だと思います。
次に外交ですが、初日のあいさつで外交の重要性はうったえており、日米同盟の強化、日米韓、及びオーストラリアやフィリピンとの連携は口にしましたが、中国のちの字も出てきませんでした。この辺りは外務省も気を揉んでいることでしょう。基本的に日本の外交方針は戦前から対立軸は作らないことを前提としています。よって最近の世界の趨勢である世界のグループ化に高市氏と外務省がどのような落としどころを探るかも焦点となってきそうです。
さて、今回の高市氏の総裁選出は私は予想していませんでした。マスコミの多くがそうだったこともありますが、私自身、高市氏は様々な意味で不利だと考えていました。ただ、第一回目の選挙の際、党員票がダントツだったこと、麻生氏が選挙前に党員票を重視するよう派閥メンバーに伝えていたことが決め手となったと思います。それ以上に小泉氏の票が伸びなかったのは選挙戦の際、失言を抑えたことでやりたいことを十分に表明できなかったことが敗因だったのかもしれません。もちろん後付けの理由ですが。
高市氏の今後です。まず、氏の苦手とする人付き合いを自己改善する必要があるでしょう。組閣も極めて重要ですが、自民党幹事長と党四役、組閣では財務大臣、外務大臣、官房長官の3つのポスト、更に副総理をどうするのか、この辺りが一つの目玉になります。もう1つは女性議員の扱いです。かつて、確か二階氏が自民党の女性議員同士が混じり合わないと苦言を呈したことがあります。今回、組閣にあたり、自分に近い女性議員は2-3名、大臣に任命すると思いますが、そこから外れた女性議員との確執は怖そうです。女性同士の足の引っ張り合いだけは見たくないですね。
女性のトップという点については「ようやく」という感じです。世界を見渡すと女性のトップは割とよくやっていると思います。特に現任ではイタリアのジョルジャ メローニ首相が極めて優れており、最近はイタリアの財務体質が改善し、フランスよりはるか上で格付けも見直し方向にあったと思います。イタリアは日本同様、毎年首相が変わっていたことを考えると大きなチェンジでした。
アメリカと中国からは依然、女性のトップは出ていません。その点からは日本は先んじたとも言えます。日本人は割と初物に弱いところがあり、ある程度、花を持たせることもあります。よって内政については案外、上手にやる気がします。問題は外交で中国とどうやり取りをするか、ここが全く未知数ですが、意図的にやや長めに放置し、優先度を下げるかもしれません。あとは外務大臣次第となります。
高市氏の挨拶の端々からはまずは自民党再生、そして一丸となって国民のために尽くすこと、これが第一義であると理解しています。国民のために尽くすなら国会の空転も避けねばならないわけで、自らの失言などには多い留意して頂きたいものです。
高市氏は保守派でありますが、日本を守るにも守り方はいろいろあるわけで、アメリカのように外部との遮断である壁づくり方式とする国造りと、日本を本質的に変換させ、真の強さを作ることでパワーアップさせる方法があります。私は後者の道を進んでもらいたいと心底思っております。
まずは首相指名、組閣、そしてトランプ氏との会談、韓国でのAPECが外交デビューとなりそうです。これから一か月、本当に働いて働いて働いて行かないと追いつかないと思います。期待のエールを送りたいと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年10月5日の記事より転載させていただきました。






