高市早苗氏は「日本のサッチャー」にはなれない(アーカイブ記事)

高市早苗氏が首相に選ばれた。彼女は「イギリスのサッチャー首相を尊敬している」とたびたび言っており、サッチャーの回顧録が愛読書だという。サッチャーといえば、1979年に保守党の党首に選ばれたとき、ハイエクの『自由の条件』を掲げて「これが私の信じているものだ」と宣言したのが有名である。

Sora2で作成

高市氏がサッチャーに似ているかどうか、チャットGPTに聞いてみた。

GPT:高市早苗氏の経済政策とマーガレット・サッチャーの政策は、見た目は似ていても中身はほぼ正反対といっていい。両者とも「強いリーダー」「保守」「国家再生」を掲げるが、経済思想の軸がまったく異なる。

■ サッチャー:市場の自由と小さな政府

サッチャーが登場した1979年の英国は、高インフレ・国営企業の非効率・労組支配で国家が疲弊していた。彼女はこれを「国家が大きすぎるからだ」と断じ、ハイエクやフリードマンの思想に基づいて次の改革を断行した。

  • 規制緩和と民営化(British Telecom・BP・British Gasなど)
  • 財政赤字削減と支出抑制
  • 金融引き締めによるインフレ抑制
  • 労働組合の権限縮小
  • 市場競争による効率向上
  • 所得税減税と付加価値税(VAT)引き上げで「働く意欲」強化

つまり、「国家が退き、市場が動く」という構図である。その結果、1980年代にイギリス経済は競争力を回復したが、同時に格差も拡大した。

■ 高市早苗:国家主導と大きな政府

高市氏は「積極財政」「減税」「給付」「補助金」を掲げ、以下のような政策を強調している。

  • 給付付き税額控除や基礎控除の引き上げ
  • ガソリン減税、エネルギー補助
  • 法人税・自動車税の停止
  • 診療・介護報酬の増額
  • 公共投資の拡大
  • 防衛・科学技術・地方支援への大型支出

つまり、「国家が支え、財政が動く」構図である。彼女は「日本経済を救うための積極財政」を主張しており、財政赤字よりも景気浮揚を優先する。この点で、サッチャーの“緊縮”とは真逆だ。

■ “減税”の意味が違う

両者とも「減税」を掲げるが、その目的は正反対。

項目 サッチャー 高市早苗
目的 政府支出の抑制、市場競争の促進 家計支援、景気刺激
背景 高インフレと財政赤字の是正 デフレ・低成長からの脱却
財源 支出削減・民営化で捻出 国債発行による財政拡張
結果 小さな政府へ 大きな政府へ

つまり、同じ「減税」でも、サッチャーは政府の縮小手段、高市は政府の拡大ツールとして使う。

■ 政策思想の根底の違い

サッチャーの思想の核は、個人の自立だった。「社会というものはない。あるのは個人と家族だけだ」という彼女の言葉は有名だ。

それに対し、高市氏の基調は国家による保護である。彼女が打ち出す「物価高対策」は、補助金や減税などのバラマキばかりで、物価を上げで逆効果になるおそれが強い。

■ 経済思想が違う

高市氏の思想は、サッチャーの批判したケインズ主義(MMT)の大きな政府である。

  • サッチャー:新自由主義(ネオリベラリズム):市場原理・小さな政府・金融政策重視
  • 高市:積極財政論(MMT):財政出動・公共投資・所得再分配重視

つまり高市氏は「日本版サッチャー」ではなく、アベノミクスの亜流である。ただデフレだった安倍政権の時代とは違い、今はインフレ率が3%になり、長期金利が1.7%で急上昇しており、1ドルは150円を超える円安になった。

この状況では、彼女の「積極財政」は日本経済に大混乱をもたらすおそれが強く、実質的な権力者である麻生太郎氏と財務省に阻止されるだろう。