経営者こそ資産運用した方が良いと思う訳

週末に京都の薬品関係の経営者の方が200人ほど集まる大会でゲストとして「経営者のためのお金との付き合い方」をテーマに2時間ほどお話をさせていただきました(写真)。

会社を経営している方は忙しい方が多く、本業に忙殺されて資産運用など考える時間がない人も少なくありません。

また、投資のことを考えて時間を割く位なら、本業に専念してもっと収益を上げていきたいと考える人もいるかもしれません。

しかし、私は経営者こそ資産運用に興味を持ち投資を実践していくべきではないかと思っています。

会社経営は社員を使って事業を動かし収益を上げるのが目的です。

一方の資産運用は「お金という社員」を使って投資から収益を上げるのが目的です。

つまり経営と資産運用の違いは、社員が働くかお金が働くかの違いとなります。

どちらにもリスクがありますが、2つの収益機会を組み合わせることによってリスク分散が可能になります。

事業が思い通りにいかない時に、収益を資産運用によって補完することが可能です。ただし、資産運用が本業の足を引っ張る事があってはなりません。

そこで経営者に必要な資産運用の方法はリスクコントロールされた堅実な手法です。また、資産運用にかける時間を少なくすることで経営に負担をかけないことも大切です。

そうなると最適な選択肢は私が提唱するような長期分散投資となります。

具体的には金融資産は短期の売買を控え、銘柄選択やタイミングを考えない投資を行う。実物資産は着実にキャッシュフローが得られる手離れの良い不動産を活用する。更に税金に対する正しい知識を身に付け、合法的な節税を実践する。

このような方法であれば、一旦ポートフォリオを構築してしまえば、メンテナンスにはそれほど時間はかかりません。

本業が順調であればあるほど、経営者は本業以外のことに興味を示さない傾向があります。

しかし好調な経営も経営環境の変化によって将来どうなるかは誰にもわかりません。余裕があるうちに、資産運用に対する準備もしっかり行っておく方が将来の安心を手に入れることができます。

安定した給与所得を得られるサラリーマンに比べ本業のリスクが高いからこそ、経営者は資産運用を活用したリスクコントロールに注力すべきだと思いました。

gorodenkoff/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年10月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。