自民党の高市早苗総裁は10月8日、就任後の野党各党へのあいさつ回りの場で、幹事長代行に起用した萩生田光一氏を紹介する際に「傷ものが1人」と表現した。発言はテレビ各局やニュースサイトで相次いで報じられ、ネット上でも賛否を呼んでいる。発言の場には立憲民主党の野田佳彦代表らが同席していた。(TBS NEWS DIG)
野田氏は記者団に対し、「(高市総裁は)顔ぶれの紹介があって、傷ものという表現で萩生田さんを紹介されていた。気にされているということは痛いところなのかな」と述べ、裏金問題への世論の厳しい視線を意識した発言だったとの見方を示した。(名古屋テレビ〖メ~テレ〗)
この日のあいさつ回りでは、国民民主党の玉木雄一郎代表とも会談。玉木氏はガソリン減税など3党(自民・公明・国民)での合意事項の履行を求め、高市氏は「御意」と応じたとされる。一方で、公明党との連立継続を巡る協議は難航しており、与党内の力学が揺れる中での発言となった。(名古屋テレビ〖メ~テレ〗)
萩生田氏は7日に幹事長代行に就任。旧安倍派の裏金事件を巡り、自身が代表を務める支部で2018~22年にかけて約2億7千万円超の不記載があったとして党から役職停止処分を受けていた経緯がある。鈴木俊一幹事長は起用について「党の処分は済んでいる」とし、問題はないとの認識を示している。(nikkansports.com)
高市氏の人事は、麻生派重用など派閥回帰色が濃いとの指摘も出ており、公明党が掲げる「政治とカネ」再発防止の姿勢との溝が連立協議に影響しているとの見方が広がる。萩生田氏の要職起用に加え、「傷もの」発言はガバナンス刷新を掲げる新体制の姿勢を問う材料となり、世論や野党の追及が強まる可能性がある。(沖縄タイムス+プラス)
一方、SNS上では「本音を言っただけ」「不適切だ」など反応が割れており、夕方の報道各社が一斉に発言を伝えたことも相まって議論は過熱した。(ライブドアニュース)
今後の焦点
- 発言は野党幹部の前での公式の場で出たもので、総裁自身が裏金問題をどう捉えるかの“メタ・メッセージ”として受け止められている。(名古屋テレビ〖メ~テレ〗)
- 幹事長代行への萩生田氏起用は、党内融和と選挙態勢の実務を重視した判断とされるが、クリーンイメージ回復とのトレードオフが浮き彫りになった。(毎日新聞)
- 公明党との連立再確認や、国民民主党との政策合意履行の行方が、政権基盤の安定可否を左右する。(nationthailand)
高市氏は就任直後から人事と与野党調整を急いでいるが、今回の表現は、政治とカネを巡る信頼回復の難しさを改めて印象づけた。新体制が説明責任と再発防止をどう具体化するかが、連立協議や早期国会運営の最大の焦点となる。(毎日新聞)






