「ホルムズ海峡の機雷除去は違憲」:立憲民主党はまだ「安全保障」を理解していない

立憲民主党の本庄政調会長が、ホルムズ海峡が封鎖された場合に自衛隊が機雷を除去する行為について「憲法違反の疑いが濃厚」と発言した。こうした憲法9条教の教条主義的な反応は、戦後日本の安全保障がいかに現実から遊離してきたかを象徴している。

結論から言えば、機雷除去が武力行使に当たるというのは、法的にも政治的にも成り立たない。これは敵基地を爆撃するような戦闘行為ではなく、単なる航行の安全を確保する作業にすぎない。実際、過去の国会答弁でも、機雷除去が直ちに集団的自衛権の行使になるとは整理されていない。

そもそも、ホルムズ海峡が封鎖されるという事態は、日本にとって経済的に「宣戦布告」に近い。原油の8割近くを中東に依存している日本にとって、これは事実上の石油禁輸措置であり、産業構造や国民生活に甚大な被害をもたらす。冷静に考えれば、その封鎖を座視することの方が、よほど「国家の存立危機事態」に当たる

だが立憲民主党のような「護憲原理主義者」にとって、国家の安全よりも「違憲かどうか」が優先される。まるで国民が凍死しても平和が守られれば本望というような論理である。

憲法9条は戦争放棄をうたっているが、それは「侵略戦争を放棄する」という意味であって、自国民の生命と財産を守るための措置を放棄せよという話ではない。国家として最低限の自己保存本能すら否定するような憲法解釈は、単なる自滅思想だ。

立憲民主党は「安保法制の違憲部分を見直す」と主張しているが、具体的にどこが違憲かについては明示していない。実際のところ、党の代表がテレビ番組や国会で繰り返しているのは、「政権を取ってから防衛省を交えて違憲部分を特定する」といった話だ。つまり、今はどこが違憲なのか分からないが、とりあえず反対しておくという立場である。

これは、安保法制の中身を吟味しているというより、単に「与党が進めたから反対する」という政局的な反応にすぎない。こうした態度では、真剣に国の安全保障を議論しようという国民の信頼を得られるはずもない。

それでも「機雷除去は違憲だ」と叫びたいなら、まず中東依存のエネルギー構造を完全に脱却し、ホルムズ海峡が封鎖されても国民生活に影響が出ないだけのエネルギー安全保障政策を提示すべきだろう。「平和」という言葉を使って何もしない政治は、無責任の別名にすぎない

「責任野党」を名乗るのであれば、理念ではなく、現実に基づいた政策議論が求められている。いつまでも「9条バリア」に閉じこもっていては、いつか本当に国民を守れない瞬間が来る。問題は、その時に誰が責任を取るのか、ということだ。

野田佳彦代表 立憲民主党HPより