立民党の創業者、枝野幸男氏が「安保法制はやっぱり違憲ではなかった」という話をしたことについて意味不明の釈明をしている。
「従来認められなかった集団的自衛権の一部について行使を容認する」との安倍内閣の説明が適切でなく、その説明を前提とする限り現状も違憲です。この点は当時の主張と変わりません。提案者から違憲の説明しかできていない法案を、その時点で認めることはできませんでした。…
— 枝野幸男 立憲民主党 埼玉5区 衆議院議員 (@edanoyukio0531) October 25, 2025
ほとんどの人には意味がわからないと思うので、チャットGPTに日本語訳してもらった:
- 安倍内閣は2014年に「集団的自衛権の一部を行使できるようにする」という閣議決定をしましたが、これは憲法違反です。憲法は集団的自衛権の行使を認めていないからです。
- しかしその後、個別的自衛権か集団的自衛権かという区分が曖昧になってきました。最高裁の唯一の判例である「砂川事件判決」では安保条約は個別的自衛権の行使だと認めたので、安保法制も個別的自衛権の範囲内だとわかりました。
- だから当時、民主党が安保法制は違憲だと指摘したことは誤りですが、そんなことを言っているといろいろ都合が悪いので、なし崩しに合憲ということにしたわけです。
まず1が誤りである。憲法に個別的自衛権とか集団的自衛権とかいう区別はない。1972年の法制局見解で「日本は集団的自衛権を保持している」と認めた。保持しているが行使できないという奇妙な解釈があったが、2014年に法制局見解を変更して「行使できる」と認めた。
2の砂川事件判決が安保条約を「個別的自衛権の行使」だと認めたというのも誤りである。判決には個別的自衛権とか集団的自衛権という言葉はない。この判決は、安保条約を外交上の裁量の範囲と認めた「統治行為論」である。
したがって3の民主党や立民党が言い張ってきた「安保法制は違憲だ」という解釈も誤りであり、「安保法制の違憲部分があれば廃止する」という立民党の基本政策は撤回すべきだ。安保法制に違憲部分はないと創業者が認めたのだから。
立憲民主党の「立憲主義」は日本政治の癌
これは大した話ではない。枝野氏がどう解釈しようと、日本には集団的自衛権がある。それは国家の自然権であり、地球が丸いのと同じだ。それを平らだと言い張ってきた立民党の解釈が現実との矛盾に耐えられなくなり、やっぱり地球は丸かったと認めただけだ。
こういう変更をするなら、国民民主党の玉木代表を首相にする工作をしていたとき、変更すべきだった。このとき玉木氏が「立民の基本政策の安保の違憲部分を変えないと乗れない」と要求したのに対して、立民の野田代表は「何とかする」と答えたが、基本政策は変えないとしたので、野党連合は成り立たなかった。
今回は公明党が自民との連立を離脱したので、それを仲間に入れるために安保合憲論を出してきたのだろう。最初に合憲という結論ありきのご都合主義である。
この立民党のわけのわからない憲法へのこだわりは55年体制の社会党の負の遺産である。昔は安保も自衛隊も違憲だという主張だったが、1990年代に村山内閣が放棄し、その後は立憲主義という意味不明の言葉に変わった。
自衛隊は明らかに違憲だが、それをいうと憲法を改正しないといけないので無視し、安保条約も認めざるをえないので、立憲主義という言葉で運用を制限してきた。これが野党を分断する癌である。この際、小西洋之氏などの癌を切除して生まれ変わらないと、立民党は余命いくばくもないだろう。






