27日、ベッセント米財務長官と片山さつき財務相が東京で会談し、日銀の金融政策や為替動向を巡って意見を交わした。ベッセント長官は、インフレ下での積極財政に懸念を示し、円安是正と日銀の利上げを促す姿勢を見せた。
- ベッセント長官は、インフレが続く中で日本政府が財政支出を拡大する姿勢に対し「成長と物価安定のバランスが重要」と述べ、金融正常化を求めた。
- 会談では、アベノミクス的なリフレ政策の転換を求め、「アベノミクスは終わりだ」とする米側の意図がにじんだ。
- ベッセント長官は「日本銀行が独立した判断で利上げできる環境を整えるべき」と発言し、片山財務相も「為替の安定が最優先」と応じた。
- 市場ではこの発言を「日銀への利上げ圧力」と受け止め、円高方向への期待が強まった。
- 一方、日銀は10月29〜30日の金融政策決定会合で利上げを見送る見通しで、政策金利0.5%を据え置く構えを崩していない。
- 政府内には「今の円安は輸出に有利」との声もあるが、消費者物価の上昇や実質賃金の低下が続く中で、緩和継続は逆効果との批判が高まっている。
- ベッセント長官は帰国前に「日本政府が日銀に裁量を与える姿勢はインフレ期待を安定させる」と述べ、事実上の利上げ要請を再確認した。
- 植田日銀総裁の慎重姿勢がインフレを長引かせ、「物価高対策」と称した減税がかえって物価上昇を助長している。
- 現状はスタグフレーション初期の様相を呈し、株価は上昇する一方で実質賃金は下がり、消費が落ち込んでいる。
- 1970年代の「英国病」とも比較されるが、日本では労組の力が弱いためインフレスパイラルには至らず、じわじわと生活が圧迫されている。
- 利上げによるインフレ抑制が最も簡単かつ実効性のある政策であるにもかかわらず、政府は減税という「物価高促進策」に固執している。
ベッセント長官の発言は、アベノミクス的なリフレ政策からの決別を促す強いメッセージだった。外圧をうまく利用し、日銀が早期利上げに踏み切れば、円安とインフレを同時に抑えることができる。しかし、政治が「物価高対策」を口実にしたバラマキを続ける限り、日本経済はゆるやかな衰退から抜け出せないであろう。
ベッセント財務長官と片山大臣 財務省HPより






