サンチェス首相に迫られスペイン国王夫妻が中国訪問

米国のスペイン嫌い

スペインはフランコ独裁政権の時代から常に米国寄りの外交を展開して来た。サンチェス首相になって、スペインは米国離れをして中国に接近している。

当初、サンチェス首相は米国への接近に努めた。しかし、サパテロ元首相がイラクからスペイン部隊を撤退させて以来、米国はスペインへの関心を失っている。しかも、NATOの中でスペインはGDPに占める国防費が加盟国の中で最低で、それに米トランプ大統領は強い不満を表明している。

中国へ行かされた国王夫妻

11月に入って、スペイン国王夫妻は中国を訪問。例えば、産経新聞によると、見出しに「スペインの国際的な役割を重視」とある。

ところが、現在のサンチェス政権は欧州連合(EU)そしてラテンアメリカでも政治的な重みは完全に失われている。サンチェス氏はEUの首脳の間で信頼されていない。例えば、EUが敬遠しているファーウエイと通信管理と傍受などで契約した。ベネズエラのマドゥロ大統領の麻薬資金を貰っていたのがスペイン政府だ。だから、ラテンアメリカ諸国でスペインの影響力はなくなっている。

中国がスペインに関心を示しているのは、スペインがEUへの入口になることを期待しているからだ。中国はこれまでそれにトライすべくギリシャそしてイタリアと接近したが失敗している。それでスペインに順番が回って来たということだ。しかも、米国から相手にされないサンチェス氏は中国から電気自動車メーカー2社の進出を計画している。更に鉱物の採掘にも中国資本が導入されることになっている。

サンチェス氏はこの3年間に3度中国を訪問している。その下準備をして来たのがサパテロ元首相だ。サパテロ氏はつい先日米国への入国の為のビザの授与を拒否された。彼がベネズエラのマドゥロ大統領の外交における特使になっているからだ。

中国との関係強化のだしに使われたのがスペイン国王夫妻

このような事情下にあって、サンチェス氏は中国とのパイプをより一層強めるべくスペイン国王夫妻に中国を今月訪問をさせた。

スペイン国防省のシンクタンクスペイン戦略研究所(IEEE)は、米国との冷めた関係にある中でのスペイン国王夫妻の中国訪問を危険視している。EUと中国の橋渡しの役を担いたいサンチェス首相にとってIEEEの忠告など眼中にはない。(11月12日付「OKディアリオ」から引用)。