長期金利が1.73%に急騰:無責任な積極財政で「日本の信認危機」か

17日の国内債券市場では、新発10年国債利回りが1.73%まで急騰し、債券価格は大きく下落した。高市政権の大規模な財政拡張に市場が警戒を強め、日本の国債と円の信認に対する疑念が一段と深まっている。

  • 国内債券市場で新発10年国債利回りが前週末比0.025%上昇し、1.73%を付けた。17年ぶりの高水準に迫り、長期金利の急騰=国債価格の急落が鮮明になった。
  • 市場は、高市政権が検討する約1100億ドル(17~25兆円規模に膨張の可能性)の追加刺激策が財政悪化を招くと判断し、「財政再建の意思なし」との見方が広がっている。
  • 日本はGDP比230%の超債務国であり、減税・補助金・歳出拡大を同時に進めれば、国債のリスクプレミアムが急上昇するのは当然だとの声が強い。
  • 日米金利差は縮小しているにもかかわらず円安が止まらず、財政懸念による“円そのものの信用不安”が表面化している。ドル円は155円を突破し、ユーロ円は史上最高値を更新した。
  • 政府はアクセル(大型財政)を踏み続ける一方、日銀は利上げ方向のブレーキを踏みたいが、国債急落で利上げが困難になっている。結果、実質金利は−2.5%前後と深いマイナスで、円を保有するほど損をする構造が続いている。
  • 円安は輸入物価を押し上げ、減税による可処分所得の増加を帳消しにする「逆効果」が発生している。市場は現在の経済政策を「持続不可能」と見なし、債券売りと円売りが同時進行している。
  • 30年債利回りは2%から3%へ急上昇し、長期債市場は日銀の金利支配から脱しつつある。これは一時的な変動ではなく、構造的な政策不整合と信認低下を映す“転換期”との見方が強い。
  • 立憲民主党が提出した食料品の「ゼロ税率」法案も、市場にとっては追加の財政悪化要因となり、政治全体が財政規律を放棄しつつあるとの疑念を深めている。
  • 長期金利が名目成長率を上回れば政府債務は発散するため、国債が市場で安定的に消化できるかが最大の焦点となっている。足元の金利急騰は、まさにその信認が揺らぎ始めたシグナルといえる。

長期金利の急騰は、単なる市場のノイズではなく、日本の財政・金融政策の矛盾が限界に達しつつあることを示している。大規模な財政拡張と利上げ局面の衝突は、円と国債の信認低下を加速させ、国際市場での「日本売り」を強めている。政策の持続可能性を示せなければ、金利も円安も止まらないという厳しい現実が突きつけられている。

高市首相 首相官邸HPより