18日の東京市場は「株安・債券安・円安」の典型的なトリプル安に見舞われた。政府が進める17兆円規模の補正予算に対する財政悪化懸念が一気に市場を揺らし、金利と為替、株価が同時に動く“日本売り”の流れが鮮明になっている。
- 日経平均株価は続落し、一時1200円超下落して4万9100円台を記録し、重要な節目だった5万円を割り込んだ。追加経済対策による財政赤字拡大懸念が投資家心理を冷やし、幅広い銘柄が売られた。
- 新発10年国債利回りは1.750%まで上昇し、2008年6月以来約17年半ぶりの高水準となった。補正予算が17兆円から最大25兆円に膨らむ可能性が指摘され、国債の需給懸念と財政の持続性に対する不安が金利を押し上げた。
- 円相場は1ドル=155円台前半まで円安が進行し、9カ月ぶりの水準を記録した。ドル円だけでなくユーロ円でも史上最高値を更新し、円そのものの信認低下が意識されている。
- 市場では「インフレ下での積極財政は、円安・債券安・株安を招く」との警戒が急速に広がっている。物価高対策と称する補正予算がむしろインフレ圧力を強め、日本売りの流れを後押ししている。
- 長期低金利時代の終焉を示す動きが加速し、今は「インフレ圧力・債券安・円安」という真逆の局面へと市場は価格を調整している。日銀は金利正常化をどこまで容認できるかの判断を迫られている。
今回の市場の急変は、政府の巨額補正予算が財政悪化への懸念を強め、円の信認や国債市場への不安を呼び起こした結果にすぎない。インフレ局面で積極財政を続ければ、円安・金利上昇・株安という「教科書どおり」の反応が起きる。日本が直面しているのは、政策の方向性そのものが問われる段階であり、日銀と政府の判断が改めて試される局面だ。

片山さつき財務大臣






