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女子トイレ行列問題が、テレビで話題となっていた。
寒くなったからかと思ったが、政府として取り組んでいる課題のようだ。
「女性用トイレの利用環境の改善に向けた対策」の推進が、「経済財政運営と改革の基本方針2025」(R7.6閣議決定)に位置付けられ、7月に「女性用トイレにおける行列問題の改善に向けた関係府省連絡会議」が開催されていた。
最近の報道は11月6日に国交省で開催された「トイレ設置数の基準と適用のあり方に関する協議会」がきっかけだ。各種施設で、便器の設置数の男女比にかなり偏りがあることが報じられていることから、今後、女性用ブースを増やす方向になりそうだ。補助金などが導入されるかもしれない。
施設の大幅な改修は、多大なコストと時間を要することから、次善の策として、即効性のある解決策を2つ提案したい。いずれも拒絶反応が強いものだが、社会的コストは抑えられる。
第1の方策案は、今ある男子トイレを男女両用トイレとして運用することである。
すなわち、女子トイレ/男子トイレを、「女子専用トイレ」/「男女両用トイレ」とするもので、出入り口のマーク・サインを変更するだけで済む。
今ある男子トイレを、男女両用トイレとして運用することは、多くの男性にとって抵抗感が少ないと考える。男子トイレを利用する際、施設の女性従業員が清掃のために入ってくることは多くの方が経験していることだろう。
また、「男女共用トイレ」利用への抵抗感の少ない女性も一定程度存在することから、「女子専用トイレ」の待ち時間は短縮する。
課題もあるが、防犯面は、「女子専用トイレ」に長い行列がある状況下では懸念は少ないと考える。防犯面での課題の多い公園のトイレなどでは、この変更は不向きだ。
不適切な利用(多目的トイレにおけるタレントの不祥事のようなこと)への抑止力が低下するが、男子トイレの個室と多目的トイレとは規模・造りが大きく異なっており、何より、既に多目的トイレで生じている問題である。
盗撮が最大の問題だと思われるが、自衛策含めて有効な対策の検討を進めればよい。間仕切の状態によっては改修が必要になるだろう。
「男女共用トイレ」は、抵抗感が大きく、色々な理由付けがなされ反対意見が多く述べられるだろうが、小規模な飲食店などで既に男女共用トイレが多数存在しており、こうした場所で生じている問題かどうかを検証すればよい。
「女子専用トイレ」/「男女共用トイレ」への変更は、当初は、批判、非難、不満が渦巻くだろうが、実施して10年後くらいには、話題にもならなくなるのではないだろうか。
話はそれるが、オリンピックなどのスポーツ競技でも、女子/男子の区分を、「生物学的女子」/「性別不問」にすればよいと私は考えている。将棋では、既に、女流棋士/棋士(性別不問)だ。
第2の方策提案は、本来目的以外での滞在時間(スマホ操作など)を抑制するため快適性を抑制した「ネオ和式トイレ」を開発し、女子トイレの一部を「ネオ和式トイレ」に改修することである。
考え方としては、以下である。
- 今のトイレには、本来目的以外での滞在時間(スマホ操作など)が相当程度ある。
- 本来目的以外の滞在時間を抑制する「ネオ和式トイレ」を開発する。
- 一部を「ネオ和式トイレ」とすることにより、待ち時間を短縮する。
「ネオ和式トイレ」について、私として決定的な案を持たないが、従来の和式トイレをベースに、つり革や手すりを効果的に配置して利用者に配慮し、それに合せて便器の形状を変更することをイメージしている。
温水洗浄器付き洋式トイレに比べて快適性が落ちるものとし、本来目的以外での滞在時間を抑制する。すなわち、長居できない便器を開発する。
衛生陶器メーカーなどの知恵を結集して開発すれば、コロンブスの卵のように、新たな商品が生み出されるのではないだろうか。
女子トイレの個室の一部をこのように変更することについては、反発が強いものと予想する。例えば、「ネオ和式トイレ」を利用したくない人にとっては、順番が来ても後ろの人に譲るイベントが発生し、強い不満が生じる。
実は、自分より先に並んだ人が、「ネオ和式トイレ」で短時間に用を済ますことで、早く個室を利用できるのだが、ここに思いは行かない。
少し時間はかかるが、高速道路のSAなどを活用し、なるべく多様な条件の元、社会実験を行い、待ち時間が縮小することを検証することが必要となるだろう。
こうした検証結果を示して、多くの人の理解を得て進めることはできないだろうか。
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中村 哲也
団体職員(建設分野)






