S&P 500は大幅に反発した。本ブログは先々週の記事の時点で
- 金曜11/21はOp Exであり、万が一ネガティブガンマ域で迎えた場合はそのあたりで反転しやすい
- 残尿ゾーンが依然6550近辺に控えているが、もし11月中にそのレベルまでの調整が実現するなら、政府再開とQT停止がもたらす流動性回復を前にした、夜明け前の暗い時間帯とも言える貴重な買い場になるだろう
としていたが、まさにこの遠投が値幅的にも日柄的にも極めて精密に決まったのである。
先週の記事でそれを踏襲しつつも「ナスダックの21900 -23000」という控えめのレンジを提示していたがすぐさま上方に突破されている。やはり値幅の割りには、11/20の調整に深い意味はなく、とにかく6550近辺の残尿ゾーンを試すことに意義があったのである。
「解放の日」からのラリーでも最初の戻りは戻り売りに押され、それが市場参加者の掴んだナイフをホールドし続ける決心を鈍らせたと思われたが、今回はその極めてミクロなバージョンが行われたということである。
ニュースフローはサンクスギビング週ということもあり極めて限定的であった。基本的には前の週のウィリアムズ総裁講演を受けた12月利下げの再織込みと共にゴルディロックスが進行したという解釈になるだろう。単発のヘッドラインが指数を2%以上も持ち上げることもなかったおかげで、じり高と言える範囲のペースで持続可能なラリーになったということである。
AIバブルが一度調整を迫られた後、GOOGL独り勝ちの雰囲気の中で局地的に、具体的にはNVDAの戻りが悪い場面もあったが、その「NVDAの負け」が半導体セクター全体の調整に繋がるリスクについては火曜11/25の長い下ヒゲでこなしたと言える。
GS CTAはかなり大掛かりな売りを済ませており、12月はベースシナリオでフラットに転ずる。トレンドがすっかり上向きに戻っているので少し間を置いてCTAの買戻しが始まることも想定されるだろう。それは引け前に指数が上方に跳ねる現象を通して観測できると思われる。
DBのシステマティック勢のポジショニングからvolコントロールの振り落としがある程度進んだことが分かる。(少なくとも引けー引けでは)1日2%の値動きはなかったものの、リアライズドVolは肉眼ではけっこう高く見えるので、Volコントロールのポジション回復はCTAの後だろう。リスクパリティは少し前から発作的に積んだ株式ポジションの削減が続く。
「解放の日」以来積まれたレバレッジETFは、相場の急変に対して順張りを入れてエクスポージャーを調整することが知られているが、この調整で1割以上振り落とされている。
BofAのディーラーガンマはOp Ex直前には微量ながらもほぼ全域にわたってネガティブガンマとなった。これはボラティリティ売り供給が足りないがゆえの、かなり珍しい不安定そうな分布となっており、仮に先週週明けに更に下値を叩いていた場合はそれなりの追加ヘッジが発生すると思われた。ポジティブガンマが残るのは6800近辺の小さな島だけであるが、幸い先週はスポットがこの小さな島に着地することができた。
その間、ディーラーガンマが回復する様子をGSも描いている。
GSのボラティリティ・パニック指数は一度急上昇した後に急低下した。珍しくBloomberg記事がGSを引用する形でシステマティック勢の動きを解説しており、曰く、いわゆるシステマティック戦略のポジションもリセットされた。ゴールドマンのトレーダー推計によると、過去1カ月でS&P500種指数関連銘柄の売り注文は約160億ドル発生し、これが株価下落の一因となった。
こうしたリスク回避の動きがほぼ吸収されたとして、ゴールドマンの来月見通しは、約47億ドル(約7340億円)の小幅な純買いに転じた。コッパースミス氏は「12月を迎えるにあたり、数週間前よりもクリーンな出発点になった」としている。
BofAの観測では11/17の週には個人投資家のぶん投げが見られた。セクターではテクノロジーが1ヶ月にわたってぶん投げられている。それなりに激しい振り落としであったということだが、HFと機関投資家は11/17の週に買戻しに動いている。
GS PBは週末を挟んで11/21と11/24の2営業日で大きな買いを観測した。
NAAIMは少し好転したものの、先週のラリーに情熱的に付いてきたようには見えず、NAAIMが100を付けた11月初頭ほどは差し迫った調整リスクが高くない。次の重要イベントは月曜12/1寄付き後のISM製造業で、よければアンチ・ゴルディロックス、悪ければ景気懸念に繋がりやすい指標ではあるが、下を投げなければならないほどのイベントではないだろう。その次は12月FOMCが控えている。
テクニカル。拍子抜けするほどあっさりと、「夜明け前の暗い時間帯」が予定通り来ては去っていき、我々は予定通りの朝を迎えている。12/1からはQTが停止することが決まっており、政府再開も浸透してきたことだろう。
チャート上ではナスダックのヘッドアンドショルダーの右肩である23670が健在であり、この手前で11/20のような戻り売りが再び入るかどうかである。入らずに23670がブレイクされた場合、過去最高値が再び視野に入ってくる。
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編集部より:この記事は、個人投資家Shen氏のブログ「炭鉱のカナリア、炭鉱の龍」2025年11月29日の記事を転載させていただきました。