「180度転換」元維新・斉木武志氏の言行不一致を見過ごせない

衆院で、かろうじて「少数与党」状態だった自民党が、元維新の3名を会派に迎え入れたことで過半数を回復しました。

その中の一人が、今回もっとも強い違和感を覚えざるを得ない人物がいます。――斉木武志氏です。

斉木武志議員HPより

正直に言って、「ここまであからさまな手のひら返しがあるのか」と呆然としました。

わずか2カ月前は「自民と距離を置くために維新を出る」と説明

斉木氏は9月に維新に離党届を出した際、こう言っていました。

「全国政党として安易に連立与党入りするのではなく、
会派を別にして新しい政治集団を作るべきだという思いで出る」

つまり、自民と距離を置くために離党した、と。与党に迎合せず、独自路線を模索するのだ、と。

これが本人の説明です。

■ ところが今日:「中に入って変えるしかない」と会派入り

しかし今回の説明はこうです。

「日本を成長する国に戻すには、中に入って変えるしかない」

――は?

2カ月前と言っていることが完全に逆です。

それなら最初から維新に残って党内で議論すればよかった。国民に対して説明していた“理念”は一体なんだったのでしょうか。

政治家の言葉というのは、ここまで軽々しいものでしょうか。

■ 「立憲と国民が折り合えないのを見て判断した」??

さらに言い訳として、

「野党再編が進まず、政権交代の現実味が薄いと判断した」

と述べています。

――いやいやいや。

選挙で自分が主張していた理念や政策より、「今どこについたら得か」で判断した、と宣言しているようなものです。

それを “決断” と呼ぶのは、あまりに都合が良すぎる。

■ 比例復活当選なのに自民入りを示唆する厚顔無恥

斉木氏は維新の比例名簿で当選した議員です。比例当選者が他党へ移ることに対しては、有権者から極めて強い批判が出て当然です。

しかも今回は「会派入り」だけでなく、任期中に法的に入党できないのを前提にしながら、

「地元県連と意思疎通を図る」

と“将来的な自民入党”まで匂わせている。

ここまで来ると信義の問題です。比例で投票してくれた方々への裏切りと言われても仕方がありません。

■ そして案の定、「身を切る改革」にはダンマリ

さらに問題なのは、会派入りした以上は当然求められるはずのこと――

歳費の自主カット(身を切る改革)を再開するのか?

維新を飛び出た時「会派運営に必要なので身を切る改革分はそちらに充てる」と説明していたのですから、巨大与党会派に入った以上、もうその言い訳は通用しません。

ところが斉木氏はこの点に触れようともしない。

有権者との約束すら歯牙にもかけないのでしょうか。

私はそう思います。

言行不一致という言葉すら生ぬるい。説明責任を果たす気が最初からないのであれば、政治家として最低です。

■ 国民が「政治不信」を抱く原因の典型例

こういうことが積み重なるから、国民は政治家の言葉を信じなくなるのです。

政治家本人が2カ月で主張を180度変え、それを都合よく“説明”だけで済ませようとする。

あまりに安易で、あまりに軽い。

政治家の矜持とは何なのか。有権者との契約とは何なのか。

その根本を疑わざるを得ません。


編集部より:この記事は、前参議院議員・音喜多駿氏のブログ2025年11月29日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。