西暦2033年に「イエス復活2000年祭」を

ローマ教皇レオ14世は先月27日から教皇在位後初の外遊としてトルコとレバノンを訪問した。トルコではエキュメニカル信条の基礎が築かれたニカイア公会議(現在のイズニク)1700周年と正教会の聖アンドレア祭の記念式典に参加し、正教会の名誉総主教であるコンスタンティノープル総主教バルトロメオスと会談した。

レオ14世とバルトロメオス総主教の会合、2025年11月30日、バチカンニュースから

そして30日午後(現地時間)、次の訪問国レバノンを訪問し、新たに選出された指導部の政府代表者と会談。教皇レオ14世は1日、アンナヤのマルーン修道院にある聖シャルベルの墓を訪れ、挨拶のメッセージを述べる。ベイルートではエキュメニカルおよび諸宗教会議が開催され、その後、教皇と若者との会合が行われる。12月2日は、2020年に壊滅的な爆発事故が発生し、約200人が死亡し、多くの建物が破壊されたベイルート湾で黙祷とミサを執り行い、全ての公式行事を終え、ローマに戻る予定だ。

レオ14世の初外遊の最大のハイライトはキリスト教の信仰基礎が築かれたニカイア公会議1700周年祭に参加し、バルトロメオス総主教との会談だった。レオ14世とバルトロメオス総主教は30日、正教会が守護聖人である使徒アンデレの祝日に参加、聖ゲオルギオス総主教教会で行われる正教会の礼拝でスピーチを行った。

ニカイア公会議1700周年記念行事への巡礼は、30日、イスタンブールの聖ゲオルギオス総主教教会における荘厳な聖体礼儀をもって最高潮に達した。コンスタンティノープル総主教庁の守護聖人である聖アンドレアの祝日に際し、教皇と総主教は演説の中で、キリスト教の一致への包括的かつ共通のコミットメントを改めて表明している。

バルトロメオス1世総主教は説教の中で、この会合の歴史的象徴性を強調、「我らの主であり救い主イエス・キリストの最初の使徒である二人の兄弟、コンスタンティノープル教会の創始者アンデレとローマ教会の創始者ペトロを想起する。聖ペトロと聖アンデレの接吻のイコンが半世紀以上にわたり、キリスト教の一致に向けた我々の共通の巡礼の象徴となってきた」と強調した。

一方、教皇レオ14世は、ニケア信条とコンスタンティノープル信条を、「カトリック教徒と正教会のキリスト教徒を真の交わりで結びつける絆だ」と強調。諸教会に対し、「依然として様々な障害が立ちはだかるにもかかわらず、一致への決意を揺るがすことなく、互いをキリストにおける兄弟姉妹とみなし、そのように愛し合おう」と呼びかけた。

ちなみに、教皇は、60年前、パウロ6世とアテナゴラス総大主教が1054年に相互破門を解除した際に、前任者たちが行った和解のしるしを繰り返し、「父と子と聖霊の名において洗礼を受けたすべての人々」との完全な交わりを達成することが、ローマ司教としての自身の職務の最優先事項だ」と改めて強調した(「イエスは神か、人間か―これが問題だ」2025年11月25日参照)。

注目される点は、トルコ訪問でレオ14世は、エルサレムでイエス復活2000周年を共同で祝う構想を改めて表明していることだ。教皇はキリスト教徒間の対話と一致について言及し、キリスト教徒がイエス・キリストの復活2000年を祝う予定の2033年を見据え、エルサレムでの共同祝典の可能性を示唆している。教皇は、「これは全てのキリスト教徒が祝いたい行事だ」と述べている。

西暦2033年まであと8年余りを残すばかりだ。ChatGPTによると、世界に約4万5,000以上のキリスト教系の宗派がある。これらは、大きく分けてカトリック、東方正教会、プロテスタントの3つの潮流に分類される。キリスト教信者は世界で約23億人と推定されている。世界総人口の約3分の1を占める。33歳で十字架に処刑されたイエスの教えが2000年後、世界の最大宗派となっているわけだ。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年12月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。