浜崎あゆみ「無人コンサート」が映し出したもの

権威主義国家の“忖度”が生む混乱と、あゆへの敬意

中国・上海で予定されていた浜崎あゆみさんのコンサートが、開催前日に突然「不可抗力」を理由に中止となりました。

準備に携わった日中のスタッフは約200名。観客1万4000人を収容する会場もすでに出来上がっていた。それでも理由の説明は不十分のまま、公演は白紙化されてしまったわけです。

さらに驚いたのは、浜崎さんが観客ゼロの空席1万4000席を前に、あえてパフォーマンスをやり切り、その動画を世界に向けて発信したこと

静まり返った巨大なスタジアムに、音楽とダンスだけが響く光景は強烈で、胸を打つものがあります。

中国側の「現場忖度」が引き起こした可能性

今回の件について、知人を通じて“現地の空気感”を聞いたところ、興味深い話がありました。

日本では「あゆの公演中止=中国の権威主義・文化弾圧」と話題だが、どうも中央の指示というより現場が勝手に忖度してストップした可能性が高い
中央政府側も、逆に「やりすぎた」と少し焦っている様子だという。

佐々木れなさんのX投稿より

日本でも行政の“忖度文化”がよくニュースになりますが、中国のような中央集権国家ではそのスケールもスピードも桁違い。

トップが実際に命じていなくても、「何か問題になるかもしれない」と現場担当者が過剰反応し、結果として大きな混乱や国際問題にまで発展してしまうのです。

まさにこれこそ、中央集権国家の怖さの本質だと強く感じます。

無観客でもステージに立ったあゆ。その姿に拍手を!

一方で、そんな政治的混乱の中で、浜崎あゆみさんは“無観客ライブ”という形でファンにメッセージを残した。

1万4000席の空席に向かって歌い、踊る。さらにはその動画を公開。この対応力、プロとしての矜持、そしてファンへの真心は、本当に素晴らしいものがあります。

私を含む同世代にとって、浜崎あゆみは間違いなく90〜00年代の音楽シーンを象徴する存在。

今回の振る舞いもまた、日本のアーティストとして誇らしい対応だったと言えるでしょう。

カラオケであゆを歌ってエールを送ろう

国と国の間で思惑がどう動こうと、最後に残るのは「人と人」。ファンの想いに応える形で行われたあのステージは、むしろ伝説として語り継がれていくはずです。

政治の世界から見ると、中国の“忖度構造”の危うさを改めて実感させられた出来事でしたが、同時に、日本のアーティストのプロ意識と美しさも際立ちました。

次にカラオケに行ったら、ぜひみんなで「あゆ」を歌いましょう。

浜崎あゆみさんインスタグラムより


編集部より:この記事は、前参議院議員・音喜多駿氏のブログ2025年11月30日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。