高市総裁は東京で開かれたサウジの投資セミナーで「いいから黙って全部私に投資して!」と呼びかけた。
誰も日本国債に投資しない
しかし国債の買い手はなく、長期金利は1.8%台に乗り、リーマンショック以来の水準になった。この直接の原因は日銀の植田総裁が今月の金融政策決定会合で政策金利を0.75%に上げるとほのめかしたことだが高市政権が補正予算で11兆円の国債発行を決め、需給が悪化した影響も大きい。

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日銀が引き締めているとき、政権はバラマキ補正予算でインフレを促進しているのではないかという質問に、植田総裁は「それは理論的には基調的な物価を押し上げると思う」と答えた。
Q:ブルームバーグの伊藤氏「政府の総合物価対策は物価基調を押し上げるのでは、円安の進行について」
植田総裁
・為替については申し上げた通りで、輸入物価は国内物価に波及するし、基調的インフレに波及するかついてはインフレ期待をみていきたい… pic.twitter.com/WERYY8O7NJ— Sawako Yasuda/Street Insights (@Street_Insights) December 1, 2025
日銀が金利を上げてインフレにブレーキをかける一方で、政権は財政バラマキでアクセルを踏む。これでは政府が金利上昇で民間投資を締め出すクラウディングアウトが起こり、日本経済は迷走するだろう。
アベノミクスの円安誘導で日本人は貧しくなった
そもそも利上げでインフレが止まるかどうか疑わしい。最大の借り手は政府であり、長期金利を上げると、政府の利払いが増えるだけで民間には大した影響がない。他方で長期金利は、岸田政権で「物価高対策」の補正予算が決まった2023年から上がり始め、日米の金利差は縮まった。
金利差が縮まると円が上がるはずだが、円は下がり続けた。その原因は高市政権のバラマキ政策で財政が悪化するとみて、市場が日本売りを始めたからだ。このような資本逃避が、アベノミクスの失敗した原因である。

黒田日銀は円安で景気をよくしようと10年間にわたってゼロ金利と量的緩和を続けたが、そのチープマネーを無限に借りることのできた大企業は資金を海外直接投資に回し、国内は空洞化した。企業の連結経常利益は上がったが、国内の雇用は増えず、実質賃金は下がった。
これが安倍政権の時代が失われた2010年代になった最大の原因である。これを止めることは至難の業だが、空洞化を促進する高市政権が、日本経済の低迷をさらに長期化し、日本人を貧しくすることは間違いない。






