FRBの0.25%利下げと短期国債購入でアメリカのインフレは再燃か

FRBは10日のFOMCで3会合連続の利下げを決めたが、内部対立が表面化し、政策の先行きには不透明感が漂っている。インフレ高止まりと景気減速のはざまで、FRBは難しい舵取りを迫られている。

  • FRBは政策金利を0.25%引き下げ、3.50~3.75%とした。インフレは依然高く、利下げの一時停止にも言及した。
  • 今回の利下げには3名が反対し、将来の金利見通しも2%台から4%超まで分裂した。FRB内部の対立が鮮明となった。
  • 雇用減速が目立つ一方、インフレ再燃の懸念も根強く、スタグフレーション懸念が市場で高まっている。
  • FRBは短期国債の購入も開始し、QT終了からわずか12日後に「静かなQE(量的緩和)」が再開した格好だ。余剰資金が市場に流れ、株や商品市場に影響を与える可能性がある。
  • 政府閉鎖の影響で主要指標が公表されない中、FRBは民間データで決定を下した。政策判断の不確実性は高い。
  • トランプ大統領は「利下げは小さすぎる」と批判し、次期FRB議長の面接を開始した。ハセット氏が有力とされ、FRBの独立性に圧力が強まっている。
  • ハセット氏が議長となり、日米の実質金利差が縮小すれば、資金の流れは大きく変わる可能性がある。

FRBは利下げを続けながらも内部対立が深まり、政策の一貫性は揺らいでいる。「静かなQE」の再開や政治的圧力も加わり、金融環境は不透明さを増している。市場は今後の雇用統計とCPIを手がかりに、FRBの本当の方向性を見極める局面に入った。

パウエルFRB議長 Board of Governors of the Federal Reserve System SNSより