法人の印鑑証明・謄本取得手続きはわざと煩雑にしているのか?

法人の印鑑証明が必要になり、東京法務局に取得に出かけることにしました。

個人の印鑑証明はコンビニでマイナンバーカードを使うと簡単に取ることができます。ところが、法人になると法務局に出向くのが原則です。郵送は時間がかかるのでいつも取りに行っています。

印鑑証明が取得できる窓口は出張所などを含めると東京23区に何箇所かありますが、私が使っているのは九段下にある東京法務局です。

こちらに印鑑カードを持参して出かけます。印鑑カードを差し込んで端末で必要事項を入力すると受付番号が交付されます。しかし、手続きはこれだけではありません。

印鑑証明の場合は手数料が500円かかりますが、こちらを収入印紙を購入して支払わなければいけません。

受付端末の横に印紙を販売している窓口(写真)がありますが、こちらは機械ではなくマンパワー対応です。私が出かけた日は週初の午後で混んでいる時間帯でしたが、3つの窓口のうち対応しているのは1つだけ。端末の行列の後でまた収入印紙購入のために行列しなければなりません。

しかも、収入印紙は現金でしか買えません。クレジットカード等の電子決済は一切受け付けていません。小銭が足りないのでご協力お願いしますという張り紙まで貼ってあります。何とも昭和な風景です。

受付端末と収入印紙購入の行列が終わると、今度は印鑑証明書が交付される順番を待ちます。

収入印紙の窓口同様、印鑑証明書のコピーも交付を行うのもすべてマンパワー対応です。

幸いこちらの東京法務局は駐車場があるので、そちらに車を止めて20分ほどで手続きができます。しかし、わざわざ九段下まで出向かなければいけないのは非常に面倒です。

郵送手続きも受け付けているようですが、印鑑カードを同封して送り返送してもらう必要があります。レターパックを準備したり書類の記入などを考えると、手間とコストがかかりすぎてあまり気乗りしません。

印鑑証明等の公的な書類は有効期限が通常3ヶ月以内となっています。まとめて取得して、ストックしようとしてもすぐに有効期限を変えてしまうため、その都度取りに行く必要が出てきます。

なぜこのような非効率な方法で対応しているのか、理由は分かりません。単に時代に取り残されているのかもしれませんが、もしかしたら、雇用維持のために、あえて機械化を進めないようにしているのではないか。そんな穿った見方さえしてしまいます。

そもそも、印鑑証明書等の公的書類を紙でプリントアウトして提出すると言う発想自体が既に時代遅れになっています。例えば、ネットで申請してPDFで取得し、それをメールに添付して提出できるような仕組みになれば、劇的に手間が削減できます。

毎回法人の印鑑証明や謄本の取得が必要になるたびに、何とも憂鬱な気持ちになります。変化に対するインセンティブは無いのは、本当に恐ろしいことです。

もしかしたら10年後も相変わらず同じやり方で取得手続きをしているのかもしれません。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年12月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

アバター画像
資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。