11月は2度、仕事で金沢を訪ねました。仕事は月曜日にあるのですが、意図的に前乗りし(!)、夜は金沢に転勤してきた元部下と食事をする約束をしていたのですが、金沢に着いたのは16時ごろ。約束までちょっと時間があったので、久しぶりに兼六園を訪ねることにしました。

金沢観光といえば、真っ先に名の上がる「兼六園」。旅行にあまり興味がない方でも兼六園は知っている方が多い全国でも指折りの観光名所です。岡山の後楽園、水戸の偕楽園とともに日本三大庭園に数えられています。さすが有名観光名所、日も傾いてきた時間にもかかわらずインバウンドの観光客でごった返していました。


兼六園は金沢城とともに小立野(こだつの)台地の先端部分に築かれていますので、園内から町を一望することができます。時刻はちょうど日暮れ時。東の山々が西日に照らされてとてもきれいでした。もともと山は紅葉で赤くなっていましたがさらに西日の赤が山を燃え上がらせます。


園内の紅葉も見ごろを迎えていました。兼六園は金沢きっての紅葉の名所のひとつです。
兼六園は加賀藩の5代目藩主・前田綱紀が別荘の周辺を庭園としたのがその始まりです。その後の藩士が園内に手をくわえて幕末までに今の形になり、明治初期に庶民に解放されて日本を代表する庭園としてその名を全国に広めることとなりました。

園内は冬に備えて雪つりも施されていました。兼六園を始め、雪国の庭園ではよく見られる冬の風物詩です。

兼六園といえばこの景色。霞ヶ池に建つ二本足の灯籠の前では多くの観光客が写真を撮っています。この灯籠の正式な名前は徽軫灯籠(ことじとうろう)。「徽」は琴の節、「軫」は絃を意味しており、灯籠の足の形が琴柱に似ていることからこの名がつきました。灯籠の姿を水面に移して楽しむ雪見灯篭のひとつです。


霞が池に水鳥が浮かんでいて羽を休めています。池には真っ赤な紅葉がせり出していて、水鳥がそれを見て楽しんでいるようにも見えます。

黄昏の水面に映る鴨。

夕暮れの雲が水面に映って美しい。

日が落ちてきて徐々に暗くなってきました。園内の灯籠にも灯りがともりだします。ここから機材をiPhoneに切り替えました。辺りは暗くなってきましたが、補正でまだ紅葉を明るく撮ることができます。



17時を過ぎ、園内の建物にも灯りがともりだしてきました。瓢箪型の瓢池の畔(ほとり)に浮かぶ夕顔亭。240年前に建てられた茶室は兼六園に残る建物の中で最古のものです。橙の暖かな灯りがとても柔らかで美しいですね。

水面に浮かぶ屋形船のような夕顔亭。
隣の雪見灯籠も印象的です。

夕暮れの兼六園を出れば向かいの金沢城の石垣がライトアップされていて、とても幻想的な光景を見せてくれていました。何段にも重なった高い城壁は、まるで西洋の城の城壁のようです。
12月も中旬になり、北陸は雪の季節を迎えようとしています。紅葉の時期は終わりましたが、雪の金沢・兼六園もいいものです。また2月に金沢を訪ねる機会がありますので、今度は雪化粧した兼六園の姿も見て歩いて見たいなと思いました。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2025年12月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。






