フジテレビ「年金月28万円の生活苦」報道が現役世代の不満の呼び水に

フジテレビ「サン!シャイン」が12月16日の放送で、年内最後の年金支給日を迎えた高齢者の生活を取り上げ、物価高による家計圧迫を伝えたが、番組内容をめぐって現役世代を中心に強い反発の声が広がっている。特に、夫婦で月28万円の年金を受給する高齢世帯を「生活苦」の象徴として紹介した点が議論を呼んだ。

  • 番組では、税制改正による所得税の基礎控除見直しで、年金から源泉徴収されていた税金が還付され、支給額が1万円前後増えた高齢者の声を紹介する一方、物価高で生活が苦しいとする事例を強調した。

  • その中で、夫婦合算で月28万円の年金を受給し、持ち家に住み、毎月の支出を差し引いても約8万円が手元に残るという老夫婦の生活が「節約の工夫」として描かれた。

  • この点について、「月28万円は現役世代の年収600万〜700万円相当」「不労所得でこれだけあり、持ち家で医療費も抑えられているなら余裕のある老後ではないか」といった批判が相次いだ。
  • 若者世代からは、社会保険料負担の増加で手取りが減り、長時間労働でも月20万円台に届かないケースが多い中で、比較対象として不適切だという指摘が出ている。
  • 畑を借りて野菜作りをしている、635円の弁当を「年金支給日だけのぜいたく」と語る演出についても、「実態以上に困窮を強調している」「かえって高齢者全体への反感を招く」との声が上がった。

フジテレビ サンシャイン!より

  • さらに、後期高齢者医療制度では住民税非課税世帯などが1割負担となっており、所得控除拡大により対象が拡大すれば、多くの年金生活者が軽減措置を受ける一方、現役世代の負担増につながるとの懸念も指摘されている。

今回の報道は、物価高の厳しさを伝える意図があったものの、比較的恵まれた年金世帯を象徴的に扱ったことで、世代間の不公平感を浮き彫りにした。年金生活者の困窮という現実と、制度全体が生む世代間格差の問題をどう伝えるのか、現役世代の現実を無視したメディア関係者の報じ方と金銭感覚が問われている。