マドゥロ拘束後、なぜアメリカは政権移譲に直接関与すると決めたのか?

 ノーベル平和賞受賞者のマリア・コリナ・マチャド氏の政権運営を米国は拒否

米国は新年に入って早々ベネズエラのマドゥロ大統領と夫人のシリア・フローレス氏を捕獲して米国ニューヨークの刑務所に収監した。

長年、マドゥロ政権の打倒を誓い、ベネズエラに民主化をもたすべく戦いを続けけて来た野党リーダーのひとりマリア・コリーナ・マチャド氏。彼女のその功績が認められノーベル平和賞が授与された。また一昨年の大統領選挙に出馬を拒まれて、彼女の代理として立候補し勝利したエドゥムンド・ゴンサレス氏。この両氏はいよいよ政権に就けると喜んだ。

ところが、トランプ大統領は「当面、ベネズエラは米国が運営して行く」と表明したのである。この発表に両氏を始め、多くの国民が期待を裏切られたと感じた。更に米国はベネズエラを遠隔操作して行くのに選ばれのはデルシー・ロドリゲス氏だとした。これには彼らは二重の裏切りを感じた。なぜなら彼女はマドゥロ政権下で副大統領だった人物だったからだ。

ノーベル平和賞を受賞したマリア・コリナ・マチャド氏

米国政府がベネズエラを直接運営して行く理由

米国がマリア・コリーナ・マチャド氏とエドゥムンド・ゴンサレス氏による政権移譲を避けた理由は3つある。

1.この両氏ではベネズエラの軍部を掌握できない。また政権の移譲を上手くやっていけるとは思われない。これまで軍部がコロンビアや近隣諸国から持ち込まれたコカインの米国への密輸をコントロールして来た。だから、米国が彼らを直接コントロールする方が確かだ。

2.ベネズエラの原油を米国企業に取り戻させたい。これまでの独裁政権で米国の石油企業はベネズエラから追放されたという経緯がある。その為に、米国政府が直接それをコントロールする必要がある。

3.これまでベネズエラの政権を担って来たマドゥロ政権下の人物で、米国の意向に沿って動ける人物を登用して政権の移譲を進めて行くのが最も安全だと米国政府は考えた。その為の人物として選ばれたのが、マドゥロ政権下で副大統領を務めていたデルシー・ロドリゲス氏だ。彼女は軍部の事情やこれまでの政権の裏事情にも精通している。外相経験などもあり、マドゥロ政権の末期には彼女がかなりの指揮権をもっていた。

政権移譲にまず90日間の様子を観る

米国は一つの目安としてまず90日間彼女に決定権のない政権運営を任せる。そして、彼女に指示を与えるのは米国のマルコ・ルビオ国務長官だ。トランプ大統領は、彼が上院議員の時代からラテンアメリカとの外交問題については彼のアドバイスを仰いでいた。この期間に運営が上手く行けば、さらに90日間を延長する。そして半年先に総選挙を実施したいという意向のようだ。

拘束されたマドゥロ大統領 マルコ・ルビオ国務長官Xより

トランプ大統領はベネズエラの次はキューバとニカラグアを米国の影響下に取り戻す意向であることを表明している。そして南米で米国が最も信頼を寄せていたコロンビアも現在の極左で米国への批判を強めているペトロ大統領の打倒も視野にある。ただ、今年大統領選挙が予定されているので、ペトロ氏の再選は徹底して阻むことを確かである。