ayakono/iStock
また始まった。職場の後輩が「今日から糖質抜きます」と宣言している。
昼のコンビニで、サラダチキンとゆで卵だけをレジに持っていく姿を見送りながら、私は思う。3週間後、あの子は絶対にラーメン食べてる。
「カラダが変われば人生が変わる」(野上浩一郎 著)日本文芸社
いや、別に意地悪で言ってるんじゃない。私自身、何度やったかわからないから。糖質制限。カロリー制限。りんごダイエット。バナナダイエット。もう全部やった。全部失敗した。
糖質制限が「効く」のは事実だ。体内の糖質と水分は連動しているから、糖質を抜けば水分が減る。体重計の数字は確かに落ちる。1週間で2キロとか、普通に落ちる。でも、それ脂肪じゃないから。水だから。
この「水が抜けただけ」という残酷な真実を、なぜダイエット本は最初に書かないのか。いや、書いてあるのかもしれない。小さい字で。読まないけど。
話を戻すと、問題は長期戦になったときだ。糖質を抜き続けると何が起きるか。代謝が落ちる。筋肉が減る。そして何より、頭が回らなくなる。当たり前だ。脳のエネルギー源をカットしてるんだから。
私の場合、糖質制限3週目で上司の話が全く頭に入らなくなった。会議中、ずっと「パン食べたい」と考えていた。あれは本当に危なかった。
カロリー制限も似たようなものだ。脂質を減らしすぎると、肌がカサカサになる。髪がパサつく。爪が割れる。メンタルも不安定になる。痩せたいのに、見た目はボロボロ。これ、何のためのダイエットだっけ?
結局のところ、糖質も脂質も「悪者」じゃない。三大栄養素と呼ばれるくらいだ。体に必要なものを必要なだけ摂る。それだけの話。なのに、なぜ人は極端に走るのか。
……まあ、気持ちはわかる。「適度に」とか「バランスよく」とか言われても、具体的に何グラムだよ、となる。だから「糖質ゼロ!」みたいな極端なルールに飛びつく。わかりやすいから。
でもね、ご飯茶碗小盛り1杯、100グラム。これは食べていい。というか、食べた方がいい。脳みそ動かすのに必要だから。
ダイエットは我慢比べじゃない。いや、我慢比べだと思ってた時期が私にもあった。だから失敗した。何度も。
後輩のサラダチキン生活が何日続くか、こっそり見守っている。賭けてもいい、来週には「チートデイ」とか言い始める。そしてチートデイが週3になる。そして——いや、これ以上は言うまい。
※ ここでは、本編のエピソードをラノベ調のコラムに編集し直しています。
尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)
■ 採点結果
【基礎点】 40点/50点(テーマ、論理構造、完成度、訴求力)
【技術点】 20点/25点(文章技術、構成技術)
【内容点】 20点/25点(独創性、説得性)
■ 最終スコア 【80点/100点】
■ 評価ランク ★★★☆ 水準以上の良書
■ 評価の根拠
【高評価ポイント】
- 実践的なメソッドの提示:「3日坊主ダイエット」という逆転の発想で、挫折を前提にした継続可能な仕組みを提案している点が秀逸。ハードルを下げるアプローチは読者の共感を得やすい。
- 明確な概念整理:「ベース食」と「娯楽食」という二項対立の設定により、日常の食事選択が単純化され、実行に移しやすい構成となっている。
- 科学的根拠と実体験の融合:糖質制限の問題点を代謝・筋量低下のリスクとして説明しつつ、800人の指導実績に基づく知見を織り交ぜており、説得力がある。
【課題・改善点】
- 個別対応への言及が薄い:年齢、性別、基礎疾患の有無など、個人差への配慮が十分でなく、読者によっては適用困難なケースがある。
- 図表依存の構成:「上図参照」「左ページ参照」など、図表への参照が多く、テキストのみでは情報が完結しない箇所が散見される。
■ 総評
本書は「3日坊主でもいい」という逆説的なコンセプトにより、ダイエット挫折経験者に寄り添う姿勢が際立つ実用書である。糖質制限やカロリー制限の落とし穴を指摘しつつ、「制限」ではなく「適正量」という本質に立ち返る論旨は明快。一方で、科学的エビデンスの提示がやや弱く、個人差への配慮も限定的であるため、読者自身が自己の状況に合わせて調整する必要がある。総じて、ダイエットに何度も失敗してきた層にとっては心強い一冊であり、入門書として推奨できる水準にある。
■
22冊目の本を出版しました。
「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)