トランプ大統領は本当に予想不可能な指導者か?

トランプ大統領を「予想不可能な指導者」と表現する識者のコメントをよくお見掛けしますが、本当に予想不可能なのでしょうか?もちろん、個別の判断や子細な点は別なのですが、私には予想不可能ということはないと思うのです。むしろ、多くの識者が従来の「大統領」という括りでモノを見ようとするのでわからなくなるのであって単なるアメリカ株式会社のCEOだとしたらわかりやすいのではないでしょうか?

会見するトランプ大統領と同政権の閣僚たち ホワイトハウスXより

ベネズエラ。確かに正月早々度肝を抜かれました。このやり方は私も考えていなかったのですが、それについて本ブログでちらっとコメントしたように時間を買ったのだろうと考えています。例えばベネズエラ問題を国際社会の一般ルールに基づいて対処するならベネズエラ国民が主導する改革をアメリカが支援するという流れなのですが、初めから大統領夫妻を拘束してしまった点で勝負の方向性を決めてしまいました。

もちろん、これから先のベネズエラ情勢は一筋縄にはいかないと思います。ですが、同国を取り巻く国際情勢は肝になるとみています。一番の関心はロシアがおとなしい点であります。最新の報道ではロシアの船まで拿捕されたようですが、ロシアは今のところ騒ぎ立てるそぶりはありません。これはロシアがウクライナとのディールにおいて良好な条件を引き出すためにアメリカとの関係を悪化させたくないと考えるからでしょう。タンカーぐらいウクライナ ディールを考えれば放置するでしょう。

中国もおとなしいと思います。ベネズエラには投資をし続けた中国ですが、投資分は中国向け原油代金との相殺をしているはずで残高は100億㌦程度ではないかとみています。中国はベネズエラの原油がなくても全く困りません。むしろ4月のトランプ氏とのディールの一条件ぐらいのものだと思います。このブログで何度か触れているようにトランプ氏と習金平氏は「仮面の蜜月」だとみています。本心では敵対心メラメラだけど表面は長年の友のようにふるまい、双方の利を考えるのです。さもなければトランプ氏が習氏を秋に国賓待遇でアメリカに招待するわけがないのです。この意味を日本は考えないふりをしているように思えます。

欧州はどうでしょうか?トランプ氏に正面切って歯向かえる国はほとんどないと思います。理由はアメリカのマネーと経済力の影響があまりにも大きいからです。言いたいけれど言えない、これが欧州の状況です。今となってはウクライナの戦後のPeace Keepをどうするかぐらいしか対応できないのであります。

ではグリーンランド。トランプ氏は欲しいと言います。ルビオ国務長官は「買うのである」と明白に述べています。デンマークはグリーンランドの権利を売るのか、という話です。しかし、領土の売買をやっていけないルールはないし、アラスカもアメリカがロシアから買ったものです。ましてや不動産事業者あがりのトランプ氏ですから「買えないものはない」と考えている節があります。私は売買成立する確率は3割ぐらいあるとみています。その代わりデンマークは何を得るか、です。要はウィンウィンになればよいのです。

国土の一部が売買されることを現代社会で受け入れるならばそれが雪崩のように次々と各地でディール成立になることはあり得ます。特に多額の対外債務で苦しむ国家は領土を売却する手法はあり得るのです。批判が強かった中国による債務押し付けで港湾施設の支配権を握るというのはその考え方と似ています。債務国は港湾という国家の窓口業務の部分を実質、支配できなくなったのは国家の領土の一部放棄に近いこととも言えます。となれば国土売買はTrump Discipline になるのでしょうか?

神道の日本では国土は神から与えられたものであり売買の対象とすることは不敬不徳だと考えるでしょう。しかし、欧州大陸における歴史では金を払わずに戦争という力による支配の歴史でしたし、ソ連崩壊後に次々と独立国ができたのもこれまた領土と支配はドライに決まっていくことを示した好例でもあるのです。

ではウクライナ問題で最大のネックとなっている領土問題。私は以前からドネツク、ルハンスク州も不動産取引で解決策を引き出すとみています。両エリアは工業があり地下資源があるので第三者機関の国家運営母体が国家の運営を行い、その利益をウクライナの復興資金に充てるとすればどうでしょうか?悪くない取引だと思います。

私も不動産事業者ですのでトランプ氏のアプローチは想像が出来るのです。(以前にも記しましたが、私勤めていたゼネコンが所有していたNYのプラザホテルをトランプ氏に売却したこともあり、私にとってトランプ氏がさほど異次元の人には思えないのです。)

考え方ひとつなのですが、何故戦争をするか、その理由の一つは領土問題だと思います。ではなぜ国家は領土所有に固執するのかといえばそうしなければ時の国の統治者が弱腰と思われるからです。しかし、企業経営者が他社から自社の買収提案を突き付けられ、売却を決定しても弱腰経営者とは言いませんよね?ディールなのです。トランプ氏は戦争の代わりに国家間ディールという発想を提示したとも言えなくはないのです。

恐ろしいほどの切り口ですが、案外、これは受け入れられる気がしており、そうなればトランプ氏は予想不可能な指導者ではなく、時代の先鞭をつけた指導者である、とメディアや識者はいつか掻き立てるのでしょう。今の時点でそこまで気がついた人は少ないと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年1月8日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。