高市政権の経済政策「主要企業の6割超」評価で国民経済との乖離が鮮明に

昨年10月に発足した高市早苗政権の経済政策について、主要企業の評価は総じて高い。一方で、その背景には企業側の利害と、日本経済全体が直面する構造問題との乖離も浮かび上がっている。

  • 産経新聞が実施した主要企業アンケートで、6割超が高市政権の経済政策を「評価する」と回答した。
  • 評価理由として多く挙がったのは、政権発足から約1カ月で21兆円規模の総合経済対策をまとめ、補正予算を成立させたスピード感である。
  • 経済対策には、物価高対策や危機管理投資、企業の設備投資を後押しする施策が盛り込まれた。
  • 企業側の評価とその背景
  • 円安の進行と株高基調により、輸出企業や海外事業比率の高い企業を中心に業績が改善している。
  • 特に上場企業は日本経済の中でも「上澄み」に位置し、円安とインフレを一定程度吸収できる体力を持つ。
  • そのため、インフレを抑え込むよりも、財政拡張を続ける政策は企業にとって相対的に都合が良いとの見方がある。
  • アンケートでは、人口減少対策や社会保障改革について「取り組みが不十分」とする声も多く寄せられた。
  • 物価上昇の主因が供給不足にある中で、財政支出をさらに拡大する政策は、根本的な解決につながりにくいとの指摘がある。
  • 円安による日経平均株価の上昇は目立つが、その利益の多くは海外法人や外国人株主に帰属している。
  • 名目GNIは増えても、実質GDPが伸びない「株高不況」の構図が強まりつつあるとの懸念が示されている。
  • 株式市場では「日本株」は買われているが、「日本という国全体」が評価されているわけではないとの冷ややかな見方もある。
  • 大規模な財政出動が続くことで、競争力の低い分野や生産性の低い層への依存が強まり、経済全体の足を引っ張る可能性がある。

高市政権の経済政策は、スピード感と規模の大きさから企業の評価を集めている。しかし、その評価は主に円安や株高の恩恵を受ける企業側の視点に立ったものであり、人口減少や社会保障、実質成長といった日本経済の中長期的課題への処方箋はなお不十分だ。供給制約下での財政拡張が「株高不況」という歪みを拡大させるだけなのか、それとも持続的成長への橋渡しとなるのかが、今後の最大の焦点となる。

大手商社 伊藤忠商事の石井敬太社長は、ことしの日本経済のキーワードを「デフレの脱却」とした上で「長い間、日本ではデフレ経済が続き、『安い日本』と言われるようになってしまった。値上げも含めて社会で受け入れて企業の収益を上げ、投資に還元する。健全な『インフレ型経済』を回していかないと世界経済に太刀打ちできない」と述べました。

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